経団連は2月25日から3月1日にかけて、訪イスラエルミッション(団長=中村芳夫経団連副会長・事務総長、訪問都市=エルサレム、テルアビブ、ナザレ)を派遣し、イスラエル政府・経済界要人との懇談や企業視察を行った。二国間経済関係の強化に向けたイスラエル側の熱意を反映し、ミッション一行は各訪問先から大きな歓迎を受けた。ミッションの概要は次のとおり。
■ 政府・経済界要人と懇談し、イスラエルの経済発展戦略を確認
べンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルのこれまでの経済成長はイノベーションの推進を基盤としていることを強調。同じく高い技術力による産業振興に取り組む日本とのパートナーシップ構築に意欲を示した。また、ナフタリ・ベネット経済大臣やアヴィ・ハッソン経済省チーフ・サイエンティストからは、イスラエルの研究開発投資の対GDP比が4.4%と世界一であることが紹介され、欧米の大手ハイテク企業が多くの研究開発拠点をイスラエルに設けており、この分野における日本企業との協力の可能性を指摘した。
イスラエル製造業者協会との懇談で、ゼィヴィ・オレン会長は、日本との経済関係を一層拡大し、多様化することは極めて重要であり、両国の経済界同士の交流の活性化に期待する旨発言した。
■ 民間企業を視察し、産業分野別の協業をめぐり意見交換
ミッション一行はまた、ICT、航空宇宙、製薬・医療機器などの分野の民間企業を訪問し、今後の協力の可能性について産業ごとに意見交換を行った。
具体的な有望事業機会として、ICT分野では、ビッグデータ解析や車両自動運転システムが注目される。また航空宇宙分野では、航空機等従来の製品に加えて、スポーツなどの大規模行事における統合的な治安対策システムの構築が挙げられた。さらに製薬・医療機器分野では、新製品の開発に期待が示された。
■ 今後の発展の高い潜在力を備えた産業分野における協力の可能性
今回のミッションでは、これまで二国間交流が必ずしも活発でなかった産業分野についても理解を深めた。例えば食品では、イスラエル側から、ゴマなどを用いた伝統的な食材やワインなどの輸出が拡大基調にあることが紹介され、販路の拡大に日本企業と協力して取り組みたいとの発言があった。
また、訪問都市には、世界中から多くの観光客が来訪しており、イスラエルは、歴史的・文化的に多様な観光資源を有していることから、観光分野においても協力を強化する余地が存在することが確認された。
【国際経済本部】