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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月13日 No.3169 高校のグローバル人材育成への取り組みと大学入試改革について説明を聞く -教育問題委員会企画部会

経団連は2月25日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)を開催し、東京都立三田高等学校の及川良一校長から、同校におけるグローバル人材育成への取り組み、ならびに大阪大学未来戦略機構の川嶋太津夫教授から、高等学校教育と大学教育の接続(以下、高大接続)および大学入試改革に関して説明を聞くとともに懇談した。

■ 都立三田高校におけるグローバル人材育成への取り組み

及川校長は、「次代を担う人材に求められる課題探求力や、幅広い教養を身につけさせるため、三田高校では総合学習の時間を活用した奉仕活動、留学生や国際的に活躍する社会人による講演会・パネル討議、マレーシアへの海外研修旅行における現地高校生との交流会などを行っている」と説明した。また「都立校で初めて海外帰国生学級を設けたほか、今年度は2名の留学生を受け入れ、9名を海外留学に派遣するなど、留学生交流にも積極的に取り組んでいる」ことを挙げ、「これらの活動を通じて、生徒に正解のない課題が山積する社会において、学び続け、的確な判断をするために努力する姿勢を身につけさせたい」と述べた。

■ 高大接続の課題と大学入試改革

続いて川嶋教授は、「高大接続に関して一般的には大学入試が注目されがちだが、高校教育の質をいかに保証するかは重要な課題である」と述べた。そして、「高校進学率が98%に達し国民的教育機関になる課程で、高校の必修科目は減らされ、教育内容は多種多様となった。その結果、多様化した高校教育を通じて最低限身につけるべき学力を保証する仕組みが必要となった」として、中央教育審議会(中教審)で現在検討されている「達成度テスト・基礎レベル」の背景を説明した。

また大学入試については、「わが国の大学入試は、一方で、18歳人口減少により推薦入試やAO入試による学力不問の入学者が増大しているという問題、もう一方で、選抜の厳しい大学では大学入試センター試験や個別の学力試験による1点刻み、知識偏重の弊害が出ているという相互に矛盾する二つの課題に直面している」と説明した。そのうえで、現在、教育再生実行会議の提言を受けて中教審で検討されている「共通テスト(発展レベル)」と個別大学による、高校の内申書や面接、論文等による丁寧な入学者選抜については、(1)達成度テストは年複数回実施することが提言されているが、高校・大学とも現行の学事暦では対応が難しいこと(2)AO入試に必要な専門職が日本ではほとんど存在しないこと(3)内申書の評価に必要な高校間格差に関する情報がないこと(4)客観性・公平性を重視する日本人の試験観では、面接や論文での評価に抵抗感が強いこと――等の課題を指摘。これらを解消するには「高校・大学双方の情報開示の徹底や政府による大学の入学定員の弾力化などが効果的であり、日本の教育システム全体の質向上のためには、高校と大学の相互理解と協働が不可欠である」ことを強調した。

【社会広報本部】

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