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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月17日 No.3174 「次代を担う人材育成に向けて求められる教育改革」を公表 -イノベーションを起こし、グローバル・ビジネスの現場で活躍する人材を育成するために

経団連は15日、「次代を担う人材育成に向けて求められる教育改革」を公表した。
経団連では、かねてイノベーションを起こし、グローバル・ビジネスの現場で活躍できる人材を育成するため、自ら「グローバル人材育成推進事業」(注)を実施するとともに、必要な教育改革や施策を提言してきた。
その後、政府による取り組みも進んでいるが、大学入試改革や教員養成のあり方に関する問題など残された課題も多く、中央教育審議会(中教審)で新たに審議を始めるものもある。そこで、経済界が特に重要と考える課題に対する考え方や要望を取りまとめた。
提言の概要は次のとおり。

■ 学長のリーダーシップによる大学改革の推進

日本の教育改革のカギを握る大学の改革を進めるには、学長がリーダーシップを発揮し、それぞれの強みや特色を最大限に活かすかたちで、組織再編や予算編成・配分、入試制度や学事暦の改革、国際化などに戦略的に取り組む必要がある。提言では、各大学が主体的にガバナンスを総点検し、総括副学長の設置など学長を補佐する体制の強化や学長選考方法の見直し、さらに情報開示の徹底、客観的指標による外部評価などを進めるよう求めた。

情報開示については、今年度から大学の教育情報の活用・公表のための共通的仕組みである「大学ポートレート」が実施されるが、その対象は教育活動に限定されている。提言では、開示される情報を拡充し、各大学の強みや特徴を共通のウェブサイトで比較可能なかたちで閲覧できる仕組みにすべきと訴えた。また大学評価については、教育、研究、産学連携、国際などの項目に関する客観的な評価指標を開発し、各分野で高い評価を受けた大学に、政府の国立大学運営費交付金や私学助成金を傾斜配分するよう求めている。

■ 高校教育の質保証と大学入試改革

大学入試については、現在、中教審で検討されている「達成度テスト・発展レベル」を活用しつつ、創意工夫をして、1点刻みの知識偏重ではなく、生徒の意欲・能力、高校時代の学習成果や多様な体験活動を総合的・多面的に判断する入試を実施するよう各大学に求めた。

また、高校への進学率が98%に達した現在、高校修了時に最低限求められる基礎的・共通的な学習の達成度を測る仕組みが必要となる。提言では、「達成度テスト・基礎レベル」を推薦入試やAO入試における応募者の基礎的学力の判定に積極的に活用することを盛り込んだ。

■ 初等中等段階での理数系教育と英語教育の推進

初等中等教育では、次代の科学技術立国を担う人材を育成するため、理数系教育やICT教育の推進を強く訴えている。

政府は、スーパーサイエンス・ハイスクールへの支援を拡充する方針だが、こうした先駆的な取り組みを地域の他の高校に広げると同時に、小学校での理科の専任教員の養成・配置や、中学・高校で、企業人など教員免許を持たない外部人材による単独授業の実施を拡大するよう求めた。

また、英語教育については、政府も英語教育の早期化・高度化を進める方針であり、それに伴う教員不足への対応として、高度な英語指導力を持つ外国語指導助手(ALT)の確保や、教員免許を持たない外部人材・民間業者の活用に関するガイドラインの策定を求めている。

加えて、政府の「土曜日教育ボランティア運動」への参加等を通じて、企業人が小中学校のキャリア教育や理科実験等に積極的に協力するよう訴えた。

経団連はこれらの提言内容が、今年度の中教審での議論に反映されるよう努めていく。

(注)グローバル人材育成推進事業=経団連グローバル人材育成スカラーシップ事業、経団連グローバルキャリア・ミーティング、経団連グローバル人材育成モデル・カリキュラム、高校生の海外留学支援(UWC日本協会)など

※全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/033.html 参照

【社会広報本部】

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