Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年5月22日 No.3177  経済界と農業界の連携強化プランを発表 -経団連とJAグループ首脳が懇談

共同会見で発言する米倉会長(左から4人目)

経団連(米倉弘昌会長)は13日、JAグループ首脳との懇談会を開催。経済界と農業界との連携強化に向けて懇談するとともに、経団連・JAグループ共同による「活力ある農業・地域づくり連携強化プラン」を取りまとめた。

冒頭、米倉会長から、「農業は国民への食料供給という重要な役割を担うとともに、基幹産業としてわが国の地域社会を支えている。また、成長戦略でも農業の成長産業化が重要テーマの一つに位置づけられた。その一方、農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の拡大などの課題が山積している」と述べたうえで、「これらの課題解決を図り、農業を魅力ある産業としていくためのカギとなるのが農業界と経済界との連携強化だ。経団連では、かねて農商工連携や6次産業化に取り組んできた。連携強化プランの取りまとめを契機に農業界との連携・提携をさらに進化・拡大させていく」との意向を示した。

続いて全国農業協同組合中央会(JA全中)の萬歳章会長からは、JAグループの自己改革案が紹介され、生産構造や流通が大きく変わるなか、農業者の所得増大や農業生産の拡大を図るため、(1)担い手サポートへの注力(2)契約取引拡大など新たな販売事業方式の確立(3)担い手や外部意見の反映などガバナンス強化(4)准組合員の位置づけなど組織の基本的事項の明確化――の4点に重点的に取り組むと強調。とりわけ、企業等との連携強化に積極的に取り組むとした。

その後の意見交換では、経団連側から、生産・物流・加工・販売段階での付加価値の向上、ものづくりの改善手法の農業への応用、安心・安全な国産農畜産物の国際展開の促進などに関して意見が出された。他方、JAグループ側からは、輸出に際しての輸入国側の規制緩和や参入障壁の改善に向けて、経団連と共同で取り組む意向が示されたほか、農業・地域づくりにおける産業政策と地域社会政策の二つの側面について、その重要性が指摘された。

■ 共同記者会見

懇談会終了後には、米倉会長、萬歳会長、全国農業協同組合連合会(JA全農)の中野吉實会長らが共同記者会見を行い、連携強化プランを発表。米倉会長は、「経済界と農業界の連携強化を進めていくうえでの基本的姿勢や重点戦略を示している。経済界の持つ技術・ノウハウが、必ずやわが国農業の生産性向上や付加価値増大につながると確信している。今後は、経済界、農業界双方が価値観や実態への相互理解を深め、『win-win』の関係を構築していく」と述べた。

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今後、経団連とJAグループは、「生産イノベーション」「物流・加工イノベーション」「国産農畜産物需要拡大」の三つを重点戦略分野と位置づけ、それぞれ分科会を設置。具体的な提携プロジェクトの創出を進めていく。

【産業政策本部】

「活力ある農業・地域づくり連携強化プラン」(概要)

  1. 1.経済界と農業界の連携強化に向けた三つの基本姿勢
    1. (1)それぞれの価値観・実態を共有化し、共通の利益・目標に向けて関係を強化
    2. (2)win-winの関係のもと、国産農畜産物のマーケットを拡大
    3. (3)単なる連携にとどまらない、資本や業務を通じた「提携」関係を構築
  2. 2.三つの取り組み方向
    1. (1)日本の強みである「技術力」を主体とした取り組みを展開
    2. (2)国産農畜産物の「バリューチェーン」の構築に向けた取り組みを展開
    3. (3)農業の持つ二つの側面(産業政策と地域社会政策)に即した取り組みを展開
  3. 3.三つの重点戦略分野
    1. (1)生産イノベーション(生産コストの低減、企業ノウハウ活用型の農業生産法人の育成、生産現場のICTの利活用)
    2. (2)物流・加工イノベーション(物流の効率化、乾燥や濃縮による加工品開発)
    3. (3)国産農畜産物需要拡大(地産地消と輸出の拡大)