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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年5月29日 No.3178 WBCSDのオットー会員企業対応部長と懇談 -気候変動・エネルギー問題への産業界としての対応などで意見交換

「持続可能な開発のための世界経済人会議」(WBCSD)は、1992年のリオ地球サミットに対応するかたちで、世界各国の経済人が集まり設置された国際経済団体である。現在、世界34カ国から日本企業20社を含む167の多国籍企業が加盟しており、国連気候変動交渉などに影響力を及ぼしている。

先般、WBCSDの会員企業対応統括責任者であるベアトリス・オットー部長が来日した。この機会をとらえ、経団連環境安全委員会のWBCSDタスクフォース(山口慶剛座長)は15日、東京・大手町の経団連会館で、気候変動・エネルギー問題への産業界としての対応などを中心にオットー氏と意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

■ 「ビジョン2050」から「アクション2020」へ

WBCSDでは、会員企業が遵守すべき2050年に向けたビジョンとして、資源制約のなかで世界人口約90億人が幸福に暮らせる社会への道筋を定めている。この「ビジョン2050」を実現するため、WBCSDは会員企業とともに「アクション2020」を策定し、持続可能な発展に資する具体的な行動を取るよう促している。

「アクション2020」では、気候変動や生態系、水、食料など九つの優先分野を特定し、諸課題を克服するうえで必要な政策の検討を進めている。とりわけ国連と緊密に連携し、国連の「持続可能な開発目標」に産業界の声が反映されるよう、提言活動も行っている。

■ 気候変動・エネルギーに関する解決策

日本企業の関心が特に強い気候変動・エネルギー問題については、現時点で産業界が提示できる解決策として、(1)吸収源としての森林利用促進(2)二酸化炭素回収・貯留(CCS)(3)ゼロ排出に向けた都市の電化(4)遠隔地域の低炭素化・電化(5)インフラの強靭化――を掲げ集中的に取り組んでいる。とりわけ(4)遠隔地域の低炭素化・電化は、途上国におけるエネルギーへのアクセスという観点から、極めて重要な課題である。

■ ソーシャル・キャピタルについて

「アクション2020」では、ソーシャル・キャピタル(注)に関する検討も進めている。その基本的な柱は、社会的な必須要件としての人権の尊重および働きがいのある人間らしい仕事(ディーセントワーク)の創出である。

WBCSDとしては、国連の指針に基づき、人権尊重を標榜する企業を拡充していくとともに、包括的ビジネス(これまで市場から取り残されてきた貧困層をビジネスに取り込む考え方)や責任ある雇用戦略、農村の生活様式など、さまざまな観点から企業の活動の価値を測定・評価し、社会全体の取り組みを促していきたい。

(注)ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)=信頼や規範、ネットワークといった目にみえないが、成長や開発にとって有用な資源と考えられるものを経済的資本と同様に計測・蓄積可能な資本として位置づけたもの

【環境本部】

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