1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2014年6月26日 No.3182
  5. 公正取引委員会による審査手続の適正化に向けた課題で説明聞く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年6月26日 No.3182 公正取引委員会による審査手続の適正化に向けた課題で説明聞く -経済法規委員会

経団連は13日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会(奥正之委員長)を開催し、森・濱田松本法律事務所の内田晴康弁護士、伊藤憲二弁護士から、公正取引委員会による審査手続の適正化について、説明を受けるとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

1.これまでの経緯

審査手続の適正化に関しては、これまでも2005年、09年の独占禁止法改正の附則等において、政府による検討が行われることが盛り込まれるなどしたが、実質的な改正には至らなかった。そのため、経団連や日本弁護士連合会などが提言等を通じて、審判制度の廃止とあわせて審査手続の適正化を求めてきた。

こうしたことを受けて、昨年の審判廃止を内容とする独禁法改正法の附則において、政府は審査手続について検討を行い、今年12月を目途に結論を得て、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるとされた。今年2月、内閣府に「独占禁止法審査手続についての懇談会」が設置され、12日、同懇談会において今後検討すべき事項をまとめた「独占禁止法審査手続に関する論点整理」(以下、論点整理)が公表され、パブリックコメントに付されるに至った。

2.論点整理の評価

論点整理においては、調査を受ける者の防御権の確保が重要であると同時に、公取委の実態解明機能の確保も重要であるとされ、両者のバランスをどのように図るかという視点から検討がなされている。しかし、適正手続を前提として実態解明が行われるべきであり、実態解明のために適正手続をないがしろにしてもよいということにはならない。

また近年、事業活動がグローバル化するなか、独禁法違反行為が国境をまたいで行われる場合もあり、独禁法違反が疑われる事業者がわが国の公取委のみならず、海外の競争当局による審査手続等に服する事例も発生している。しかし、多くの先進国では弁護士顧客秘匿特権や弁護士の立ち会いが認められているにもかかわらず、わが国では保障されていないため、審査手続等において、わが国で活動する企業のみが適正な手続を保障されず不利益を被るおそれがある。確かに、改正法附則第16条では、「我が国における他の行政手続との整合性を確保しつつ」検討を行うこととされているが、独禁法は他の行政手続とは異なり、国際的な摘発事件も現に起きていることから、単にわが国の他の行政手続との比較を論じるだけでは不十分であり、諸外国の手続との整合性を踏まえる必要があるのではないか。

また論点整理では、弁護士顧客秘匿特権や弁護士の立ち会いを認めた場合に、濫用のおそれを指摘する意見もあるが、濫用的な事例は例外的なものにすぎない。そうした濫用的な事例については、別途制裁を検討する必要があるものの、適正な手続を保障しない理由にはならない。特に弁護士の立ち会いについては、供述調書の信用性・任意性に関する事後的な争いを防止し、事件を早期に解決するためにも認めることが有用であり、前向きな検討がなされる必要がある。

【経済基盤本部】

「2014年6月26日 No.3182」一覧はこちら