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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年7月10日 No.3184 フォーブス・メディア社・フォーブス会長との懇談会開催 -米国経済の回復動向や中間選挙の見通しなどで説明聞く/アメリカ委員会

フォーブス氏(中央)と
石原委員長(右)、村瀬共同委員長(左)

経団連は6月26日、都内でアメリカ委員会(石原邦夫委員長、村瀬治男共同委員長)を開催し、「フォーブスジャパン」誌の新創刊を機に来日した米国フォーブス・メディア社のスティーブ・フォーブス会長兼主筆から、米国の政治経済情勢や日本経済への期待等について説明を聞いた。
懇談の概要は次のとおり。

■ 米国経済は回復の見込み

米国経済は今年の第1四半期に大きく落ち込んだが、中東危機がこれ以上深刻化しなければ、第2四半期以降は回復軌道に戻り、2014年通年では3%超の経済成長が見込まれている。

米国経済の回復が見込まれる理由として、第1に、銀行による企業融資の拡大が挙げられる。特に規制緩和を通じて中小企業への融資が増加しており、中小企業の成長は雇用創出の原動力となる。さらに信用の拡大を通じて量的緩和の段階的縮小にも対応できる。

第2に、エネルギーブームによる景気後押し効果が期待される。天然ガスを安価に調達することが可能となった結果、国内製造業が恩恵を被るだけでなく、海外からの直接投資が拡大するなど、経済の好循環が生まれている。

第3に、当面は連邦政府が増税に踏み切らないという期待感がある。これが明るい兆しとなって、景気回復に貢献する見込みである。

■ 共和党が優勢=TPP妥結にも追い風

11月の中間選挙に向けて、共和党が上下両院で過半数を獲得しそうな状況となっている。共和党が支持される背景には、オバマ政権の経済運営のまずさ、内国歳入庁(IRS)をめぐるスキャンダル、オバマケア導入への懸念等がある。

TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の展望は、オバマ大統領が貿易促進権限(TPA)の獲得に熱心ではないなど、短期的にはあまり明るいものではない。しかし、中間選挙で共和党が上下両院で過半数を獲得すれば、共和党には自由貿易こそ経済成長のエンジンとの観点から通商交渉を推進する議員が多いので、TPP妥結への機運が高まるだろう。

■ 世界経済の牽引役としての日本に期待

世界経済をみると必ずしも明るい材料ばかりではない。欧州経済は回復しつつあるが、低水準の成長にとどまっている。中国は信用市場改革をはじめ国内改革に苦労しているが、中国経済の原動力である4300万の中小企業が将来的には大企業に成長するよう、改革を着実に進める必要がある。

日本が米国とともに世界経済の成長を牽引する原動力となることを期待している。有効な方策の一つとして、円ドル為替における上限(キャップ)設定を提案したい。スイスは対ユーロ相場で上限を導入しており、同国経済にプラスの効果をもたらしている。日本も1ドル=100円など、対ドル相場で上限を設定してはどうか。為替安定により海外投資家にとって日本市場の魅力が増すなど、さまざまなプラス効果が期待される。

日本経済の成功には大きな関心を寄せている。日本企業が主役のサクセス・ストーリーをフォーブスジャパン誌に掲載していきたい。

【国際経済本部】

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