経団連(榊原定征会長)の小林喜光ヨーロッパ地域委員会共同委員長は9日、東京・大手町の経団連会館で、日本・スイス国交樹立150周年記念の一環で来日したスイス連邦のヨハン・N・シュナイダー=アマン経済・教育・研究大臣一行との懇談会を開催した。
■ 日本との経済関係は良好でさらなる拡大も可能
小林共同委員長の歓迎あいさつに続き、シュナイダー=アマン大臣は、スイスの2013年GDP成長率が2%、失業率はおよそ3%と欧州のなかでは経済情勢が良好であることに触れ、その背景として、同国は資源が乏しいなか、優秀な人材の育成とイノベーション推進に力を入れていると説明した。通商面では、(1)WTO(2)EUとの二国間協定(3)EU以外の国・地域とのFTA――という三つの柱に基づき対外経済関係の強化に努めており、現在、EU以外の38の国・地域とFTAを締結していることを紹介。日本とは09年にFTAを締結した結果、二国間経済交流が拡大したことに大いに満足しているものの、今後、分野によっては両国関係をさらに強化する余地があると指摘した。
■ 労働市場改革は両国共通の課題
経済代表団団長のハンス・ヘス・スイス機械産業協会会長は、日本との経済関係の重要性に触れ、スイスの主要輸出品目である機械の対日輸出拡大に意欲を示した。また、スイスは高い賃金水準を維持するため、技術力に裏打ちされた質の高い製品とサービスの提供に日々努力していると述べたうえで、日本同様、高齢化が進んでおり、今年2月には国民投票で大量移民制限案が可決されたことから、今後は女性や若者をはじめとする潜在労働力の活用を通じて、国内で有能な労働力を確保していく必要に迫られており、この面で日本の取り組みを学びたいと発言した。
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スイス側の発言を受けて小林共同委員長は、日本もグローバルなEPAネットワークを構築することで世界経済の成長を取り込み、国際競争力を高めることが不可欠との観点から、TPPや日EU EPA交渉を進めており、例えば日EU EPAについては15年中の大筋合意・妥結を目指し、経団連としても業界同士の対話などに取り組んでいる旨説明した。また、労働市場改革、イノベーション推進はわが国にとっても喫緊の課題であり、6月に閣議決定された骨太方針、成長戦略の主要な柱となっていることを紹介した。
【国際経済本部】