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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年8月28日 No.3189 女性の活躍推進への取り組みと改正障害者雇用促進法について聞く -中堅・中小企業委員会

経団連は7月31日、東京・大手町の経団連会館で中堅・中小企業委員会(立石文雄委員長)を開催した。内閣府男女共同参画局の東潔総務課長と厚生労働省職業安定局の広畑義久雇用開発部長から、それぞれ「女性の活躍推進」に関する政府の取り組みと改正障害者雇用促進法の内容について説明を受け、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

1.女性が輝く社会を目指して(東氏説明)

安倍政権では「ウィメノミクス」と称する女性の活躍推進を成長戦略の中核に位置づけている。

日本では結婚や出産等を機に仕事を辞める女性が6割に上る。また、管理的職業に就く女性の割合は国際的にみて低い。

一方、女性の非労働力人口のうち就業を希望する女性は約315万人に上っており、労働力と優秀な人材の確保に向けて、女性の活用を進めていくことが必要である。

そこで、日本再興戦略では、「指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度」「25歳~44歳の女性就業率を73%」という成果目標を定め、待機児童の解消や育児休業給付の充実、個別企業の役員・管理職等の登用に関する情報の開示などに取り組んできた。

今年6月に閣議決定した「『日本再興戦略』改訂2014」においては、(1)放課後児童クラブの拡充(2)女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築(3)有価証券報告書における女性役員比率の記載義務づけ――などの新たな施策が盛り込まれた。

このうち、「女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築」については、国・地方公共団体・民間事業者における女性の登用の現状把握、目標設定、自主行動計画など、各主体が取るべき対応等について検討しているところである。

経団連をはじめとした経済界に対しては、安倍総理から、2020年までに指導的地位に占める女性の割合30%を達成するための取り組みについて要請している。女性が輝く社会を目指した政府の取り組みへの協力を引き続きお願いしたい。

2.障害者雇用促進法をめぐる現状と今後の動向について(広畑氏説明)

障害者の雇用は着実に進展している。雇用者数は10年連続、ハローワークを通じた就職件数は4年連続で過去最高を更新している。

近年の特徴は精神障害者の雇用が増加していることである。13年度のハローワークによる障害者の職業紹介状況をみると、精神障害者は10年前の8倍超となる2万9404件に上り、身体障害者と知的障害者を上回る就職件数となっている。

今後の動向において、企業が留意すべき点は主に三つある。

まずは、障害者雇用納付金制度の対象事業主の拡大である。同制度では、法定雇用率の未達成企業から、不足1人当たり月額5万円の納付金を徴収し、達成企業に対しては、超過1人当たり月額2万7000円の調整金を支給する。15年4月からは制度の対象が現行の200人超から100人超の企業へと拡大する。

次いで、改正障害者雇用促進法への対応である。主な内容は、雇用分野における差別禁止と合理的配慮の提供の義務化(16年4月施行)、法定雇用率の算定基礎の見直し(18年4月施行)の二つである。

差別禁止は、雇用にかかわるすべての事項で障害を理由とした直接差別を禁止するものである。合理的配慮の提供義務は、障害者が職場で働くにあたっての支障を改善するための措置を講ずることを義務づけるものである。その例としては、車椅子の利用者に合わせて作業机の高さを調整するといった内容とされている。具体的な内容は労働政策審議会における議論を経て、大臣告示による指針として、年度内に策定する方向である。

法定雇用率の算定基礎の見直しは、算定式の分子(現状は身体障害者、知的障害者)に精神障害者を追加するものである。法定雇用率は引き上がるが、18年度から5年間は猶予期間として、機械的な算出はせず、労働政策審議会での議論を経て決めることとなる。

【労働政策本部】

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