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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年8月28日 No.3189 大学改革の動向聞く -留学奨励策などをめぐり意見交換/教育問題委員会企画部会

経団連は7月31日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)を開催し、文部科学省高等教育局の森晃憲高等教育企画課長から、政府の大学改革への取り組みについて説明を聞くとともに懇談した。概要は次のとおり。

■ 大学の国際化やグローバル人材育成に向けた政府の取り組み

森氏はまず、「世界的に知識基盤社会を迎えるなか、欧米諸国や新興国は、発展の基盤として高等教育を重視し、規模的拡大を図っている。日本の大学進学率はOECD平均の60%を下回っており、わが国は大学を質・量ともにさらに拡充する必要がある」と指摘した。そのうえで、「政府は国際競争力の向上やグローバル人材育成のために、国際化を徹底的に進める大学を支援していく」と述べ、具体的には、「スーパーグローバル大学創生支援事業を実施し、世界レベルの教育と研究を行うトップ大学や国際化を牽引する大学を対象に、外国大学とのジョイント・ディグリー・プログラムの開発・実施や海外キャンパスの展開などの制度改革とを組み合わせた重点支援を行う」と説明した。

また、昨年6月に閣議決定した「日本再興戦略」で日本人の海外留学生を大学生等で2010年の6万人から2020年には12万人に倍増させる目標を掲げたことを受け、政府の予算と企業からの寄附を組み合わせて学生の海外留学支援のための奨学金事業を行う「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を20年まで実施するとし、「初年度の14年度は、応募者1700名から323名が合格しており、この制度を通じて今後、大学生の海外留学の機運を高めたい」との抱負を述べた。

最後に、今年6月に成立し来年4月1日から施行される学校教育法および国立大学法人法の改正で、大学運営の責任を負う学長のリーダーシップを確立するため、副学長が学長の命を受けて公務を分担することや、教授会は教育研究に関する事項について審議し、決定権者である学長等に対して意見を述べる機関である旨が明確化されたことに言及し、「今回のガバナンス改革を、各大学の国際化や教育力の強化につなげていくことが重要」との考えを示した。

■ 留学奨励策や大学の規模をめぐり意見交換

続く意見交換で、経団連側が「『トビタテ!留学JAPANプログラム』で、すでに留学の準備を進めている学生に奨学金を支給するだけでは留学する学生の人数は倍増しないのではないか」と指摘したのに対し、森氏は、「奨学金を支給することで、経済的な理由から留学を断念していた学生の呼び水となるほか、来年から就職活動の時期が見直されれば、留学を希望する学生の増加につながる」と回答した。また経団連側から「少子化が進むなか、大学の量的拡大は必要か。むしろ、日本の大学は学費が高いとの意見もあるので、学費を下げる方向で、運営費交付金を重点配分すべきではないか」と指摘したのに対し、「国際的には高等教育を受けた人口の多さが国力・産業競争力につながると考えられており、大学教育の質の改善を図るのは当然だが、同時に大学人口の量的な拡大も必要」との見解を示した。

【社会広報本部】

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