Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年9月11日 No.3191  海外機関投資家とコーポレート・ガバナンスに関する意見を交換 -経済法規委員会コーポレート・ガバナンス部会

今年6月に閣議決定された政府の成長戦略においては、「コーポレートガバナンス・コード」(以下、コード)の策定が盛り込まれるなど、企業のコーポレート・ガバナンスの強化が大きな柱となっている。これを受けて、政府では先月7日、金融庁と東京証券取引所が共同事務局となる「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」が設置され、コードの策定に向けた検討が開始された。

こうしたなか、欧米・アジアの機関投資家等が参加するACGA(注)が来日するのにあわせ、経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会コーポレート・ガバナンス部会(内田章部会長)を開催し意見交換を行った。ACGAからは、ブラックロック、カルパース、ハーミーズ、RPMI等が出席した。

会合では日本側参加企業から、ACGAの関心事項であるESG(環境・社会・ガバナンス)に関する課題への取り組みや、ビジネス戦略の変化にあわせてガバナンスの仕組みをどのように発展させているかという点について、取り組みを紹介した。

続く意見交換では、ACGA側から(1)日本でコードが策定されることにより、日本企業のコーポレート・ガバナンスが向上し、わが国の資本市場の国際競争力がより強化されることを期待する(2)OECDやイギリス、フランス、ドイツ等においてもコード(もしくは原則)が策定されているが、それらをそのまま日本に持ち込むことは適切ではなく、日本の実情に合ったものとすべき(3)企業は規模等によってさまざまなものがあり、ガイダンスを必要とするものもあるため、コードの内容は大まかな原則だけではなく、できるだけ具体的なものであることが望ましい(4)コードを形式的に遵守(comply)することよりも、遵守しない場合の投資家への説明(explain)をきちんと行うことがむしろ重要である(5)株式の持ち合いについては、投資家の間でも評価が分かれるところだが、他社の株式を保有している理由をきちんと説明することで、海外の投資家からも信頼が得られるのではないか――などの発言があった。

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成長戦略では、コードの基本的な考え方を政府の有識者会議で秋ごろまでを目途に取りまとめ、東証が来年の株主総会の時期に間に合うようコードを策定することとされている。

同部会では、今回の意見交換を踏まえ、わが国のコードが適切なものとなるよう、さらに議論を深めていく。

(注)ACGA(Asian Corporate Governance Association)=アジア市場に投資を行っている欧米・アジアの機関投資家等で構成され、アジア諸国のコーポレート・ガバナンスに関する提言等を行っている団体

【経済基盤本部】