1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2014年9月18日 No.3192
  5. 「安倍政権の外交安全保障政策―現状と課題」

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年9月18日 No.3192 「安倍政権の外交安全保障政策―現状と課題」 -大阪大学大学院法学研究科・坂元教授が常任幹事会で講演

講演する坂元教授

経団連は3日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催し、大阪大学大学院法学研究科の坂元一哉教授から、「安倍政権の外交安全保障政策―現状と課題」と題する講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ 安倍政権の外交安全保障政策

日本の外交安全保障政策の基本は、遠くの巨大国家・アメリカと友好を保ちつつ、その協力を得ながら、近くの巨大国家・中国とは争わないように力のバランスを取ることである。安倍政権の「地球儀を俯瞰する外交」そして集団的自衛権の限定的行使容認は、その基本にかなった外交安全保障政策であり、評価できる。

集団的自衛権は、国連憲章に掲げられた主権国家固有の自衛権である。集団的自衛権の限定的行使容認は、日中間の偶発的な衝突を避けるための日米同盟の抑止力強化が目的である。行使「容認」と行使は別物であり、集団的自衛権を行使しないために、行使を容認するといってもよい。

■ 外交安全保障政策の今後の課題

今後の外交安全保障政策における一つ目の課題は、TPP交渉の推進である。TPPは将来的に中国も取り込む可能性のある大きな枠組みなので、日本は、交渉妥結に向けて積極的に努力すべきである。

二つ目は、中国周辺諸国との関係強化である。さらに進めるべきだが、難しいのはロシア、北朝鮮、韓国とのかかわり方である。ロシアのウクライナに対する態度を、日本は批判しないわけにはいかない。それをしないで北方領土の返還だけを考えてロシアと関係を改善しようとすれば、日本の国際的立場は苦しくなるだろう。北朝鮮とは、拉致問題解決のためにも、関係改善を模索すべきだが、国際協調を考慮した難しい舵取りが必要だ。韓国との関係については、忍耐強く相手の変化を待つ必要があるだろう。

三つ目は、日米同盟のさらなる強化。そのためにも集団的自衛権の限定行使を実際に可能にする法律と日本自身の防衛力の整備が必要である。

日本は、世界の平和と繁栄に貢献する海洋国家として、アジアだけでなく全世界の国々と海を通じた隣国として付き合えるように、世界のさまざまな問題に関心を持つべきである。この点、今後、日本が、世界の安全保障に協力していく「積極的平和主義」を取るためにも、国連安保理改革の必要性をあらためて訴えていく必要があるだろう。

【総務本部】

「2014年9月18日 No.3192」一覧はこちら