経団連は9月29日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会企画部会(中谷義昭部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。内閣府宇宙戦略室の頓宮裕貴参事官から、宇宙政策の現状と課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。
■ 宇宙政策の現状
2008年に宇宙基本法が成立し、総理大臣を本部長とする宇宙開発戦略本部が設置された。12年7月には内閣府宇宙戦略室や有識者で構成される宇宙政策委員会が設置され、昨年1月に現在の宇宙基本計画が策定された。
宇宙基本計画を実施するため、宇宙政策委員会は6月に平成27年度戦略的予算配分方針を取りまとめた。同方針に従って各省は概算要求を行い、平成27年度の概算要求における宇宙関係予算の総額は3271億円(対前年度当初予算比19.4%増)となった。
■ 宇宙政策が直面する変化
昨年12月に政府が決定したわが国で初めての「国家安全保障戦略」では、宇宙空間の活用の推進などが盛り込まれた。また、日米で宇宙状況監視などの協力が進んでいる。
ただ、わが国の宇宙産業(宇宙機器産業および宇宙利用産業)の規模は減少傾向にある。宇宙機器産業においては、ロケット打ち上げの関連事業から撤退する企業が増えている。
そこで、宇宙政策委員会は6月に基本政策部会を設置。8月に同部会が公表した「中間取りまとめ」では、安全保障政策と宇宙政策の連携を強化し、宇宙産業基盤の維持・強化に資するかたちで基本方針の再構築が必要であると指摘した。
■ 新宇宙基本計画の策定
9月12日に開催された宇宙開発戦略本部において、山口俊一宇宙政策担当大臣が「中間取りまとめ」を報告した。ここで安倍首相からは、年末を目途に新たな宇宙基本計画を策定する指示が出された。
新宇宙基本計画は、安倍政権の安全保障政策を反映するとともに、投資の予見可能性を高め、宇宙産業基盤を強化するため、10年の長期整備計画とする。現在、宇宙政策委員会の下の各部会が新計画策定に向けた検討を進めている。
<意見交換>
宇宙活動法の策定の見通しに関する質問に対し、頓宮氏は、「宇宙活動法の策定時期の目途は決まっていないが、新たな宇宙基本計画ではできる限り時期を示したい」と回答した。
【産業技術本部】