経団連は10月31日、2014年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」を発表した。この調査は、今年3月に学校等を卒業して4月に入社した新入社員へ実際に支払われた初任給(決定初任給)を調べたもの。調査結果の概要は次のとおり。
(1)初任給決定にあたって最も考慮した判断要因
初任給決定にあたっての判断要因は、「世間相場」(29.2%)と「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」(23.3%)の二つに回答が集まった。次いで「賃金交渉の結果、その配分で決めた」(12.9%)が多く、業績の改善を受けて月例賃金の引き上げを行った企業が増加したことを反映し、前年の6.9%から約2倍になった。また、「人材を確保する観点から決めた」企業も前年より増加し、12.1%となった。
(2)初任給の決定状況
「前年の初任給を据え置いた」企業は13年の90.3%から56.5%へと減少した一方、「前年の初任給から引き上げた」とする企業の割合は9.1%から42.5%へと大幅に増加した。初任給を引き上げた企業のうち、「賃金改定後に引き上げた」企業が多くを占めた。
(3)初任給水準と上昇率
学歴別の初任給の対前年上昇率は、リーマンショックによる世界同時不況等の影響から09年以降、すべての学歴区分で0.1%前後と、ほぼ横ばいで推移してきたが、14年はすべての学歴区分で高い伸び(0.38~0.56%)となった。
(4)学歴・規模別にみた初任給
学歴ごとの初任給を規模別に比べると、大学院(修士)卒(技術系)では「3000人以上」が、それ以外の学歴では「500人未満」が最も高い。また、大学卒(事務系)、短大卒(事務系)、高校卒(現業系)においては、最も規模の小さい区分である「100人未満」の初任給が一番高くなっている。
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「新規学卒者決定初任給調査」は、新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の参考とするために1952年から毎年実施している。14年調査は経団連の企業会員および東京経営者協会の会員企業1909社を対象に実施し、515社(製造業48.5%、非製造業51.5%)から回答を得た(有効回答率27.0%)。
【労働政策本部】