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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年11月13日 No.3200 アスリートの競技活動環境と企業への期待について聞く -専修大学文学部の久木留教授と現役レスリング選手から/スポーツ推進委員会企画部会

経団連は10月31日、東京・大手町の経団連会館でスポーツ推進委員会企画部会(福井靖知部会長)を開催した。専修大学文学部の久木留毅教授、男子レスリングの松本隆太郎選手、金久保武大選手から、現役アスリートの競技活動環境と企業への期待について説明を聞くとともに懇談した。

■ デュアル・キャリア形成の必要性

元レスリング選手で日本代表チームのコーチなどを務める久木留氏は、「男子レスリングは1952年のヘルシンキ・オリンピックから15大会連続でメダルを獲得しているが、選手たちは引退後の生活への不安を抱えながら戦っている」と述べた。そのうえで、「日本ではメダルを取るための後押しはあるが、その後の人生に対する支援が少ない」と指摘し、「アスリートとしてのキャリアと将来のキャリアとを同時に考えるデュアル・キャリアの形成が重要」と強調した。

さらに、「40%以上の企業がアスリートの雇用などに関心を持っている」という最近の調査結果を紹介したうえで、「レスリング界では、引退後も社会で活躍できる“インテリジェント・レスラー”の育成に取り組んでおり、企業のニーズとうまくマッチングさせたい」と語った。

加えて、現役選手の競技活動環境に関し、「オリンピック出場選手も含め、育成の大部分を出身高校・大学が担っている」「競技活動を経済的に支えているのは選手の家族らである」といった現状を説明し、「企業所属の選手でも、練習は出身大学の施設で行うなど、外部の協力を受けているケースが多い。こうした面でも企業のサポートをお願いしたい」と呼びかけた。

■ 現役トップアスリートの活動環境と将来不安

続いて、2012年ロンドン・オリンピック銅メダリストの松本選手、10年世界選手権5位入賞の金久保選手から、現在の競技活動環境や将来展望などを聞いた。現在、1年ごとの契約で企業に所属している両氏は、経済的なサポートを得て競技に専念する一方で、引退後を見据えて大学院で学んでいる。しかし、「キャリア形成に向けて何をすればよいのか、わからないことも多い。周囲の選手をみても、時間的には余裕があるのに、将来に向けた勉強をしていない人が多い」と実情を紹介した。また、「学生時代に奨学金を受けながら競技に取り組んでいたため、その返済が負担となり、経済的にも余裕がない」との話もあった。

これらの発言を受けて久木留氏は、「ある意味選手を使い捨てにしている部分もあるのが現状であり、スポーツ界も変わらなければならない」と総括した。

【社会広報本部】

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