わが国は本格的な人口減少社会を迎えるなか、世界の人材獲得競争に乗り遅れているといわざるを得ず、外国人材の受け入れは、従来以上に国を挙げて取り組むべき重要な課題となっている。
こうしたなか、政府においては2015年3月を目途に「第5次出入国管理基本計画」の策定が予定されていることから、経団連は18日、同計画策定に向けた意見を取りまとめ、公表した。意見書のポイントは次のとおり。
■外国人材の受け入れに対する基本認識
外国人材の受け入れについて、(1)わが国経済社会の活性化に資する幅広い人材の一層積極的な受け入れ・呼び込み(2)長期的観点からの本格的な人口減少社会の到来や産業構造の変化を見据えた外国人の受け入れの推進(「日本型移民政策」の検討等)(3)外国人の社会統合を含む共生社会の構築に向けた積極的な施策の展開――を強く期待する。その際には、府省横断的な総合的な取り組みが求められる。
■ 幅広い外国人材の受け入れの一層の促進
(1)高度人材
高度人材ポイント制度(注)の高度外国人材・日本企業への周知の強化と、制度内容に関する不断の見直しが求められる。また、在留資格、査証、在留カードについては申請・更新手続きの簡素化・迅速化や電子申請の普及等を積極的に推進することが重要である。あわせて永住許可に必要な在留歴にかかる要件を緩和すべきである。
また、政府奨学金の拡充等を通じて、外国人留学生のより多様な国・地域や分野からの受け入れの拡大を図るとともに、わが国での就職支援を一層強化することで、外国人留学生の定着を促進していく必要がある。
(注)高度人材ポイント制=高度人材の受け入れを促進するため、高度学術研究活動、高度専門・技術活動、高度経営・管理活動の三つに活動内容を分類し、それぞれの特性に応じて「学歴」「職歴」「年収」などの項目ごとにポイントを設け、その合計が一定点数に達した場合、出入国管理上の優遇措置を与える制度
(2)技能人材
(1)介護福祉士をはじめとする国家資格取得者等、一定の技能を有する外国人材の受け入れの推進(2)「『日本再興戦略』改訂2014」(14年6月24日閣議決定)に盛り込まれた、製造業における海外子会社等従業員の国内受け入れ制度の早期導入と企業ニーズに応じた柔軟な運用(3)外国人技能実習修了者の活用――等の受け入れ策の早急な検討・具体化を要望する。加えて諸外国の制度も参考に、クォータ制や労働市場テスト等による受け入れ規模を適切に管理した人材受け入れの仕組み導入の是非を検討すべきである。
(3)外国人技能実習制度の抜本的見直し
取り締まりの強化に際し、これまで適正に運用してきた監理団体・受け入れ企業に実質的な追加負担が発生しないようにし、企業による制度の利活用を萎縮させることがないように十分留意する必要がある。また、優良団体等の認定基準を過度に厳しくしないよう配慮したうえで、拡充策(対象職種拡大、実習期間延長、受け入れ枠拡大)の着実な実施を求める。
■ 外国人材との共生社会(社会統合)
外国人にかかる就労環境の一層の充実とともに、教育や医療を含む生活環境の整備に向けた全政府的な取り組みの推進が肝要である。生活インフラの多言語化と日本語習得環境の整備を進めるとともに、社会統合にかかるコスト負担、行政サービスのあり方等も含め、国民的コンセンサスを早期に形成すべきである。
■ 観光立国の実現
アジア諸国をはじめとする外国人観光客向けの査証発給要件の一層の見直しや出入国手続の円滑化・迅速化等を要望する。
※全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/095.html 参照
【産業政策本部】