経団連は提言「戦略的なインフラ・システムの海外展開に向けて」を取りまとめ、18日に公表した。
今回の提言は、成長戦略の柱であるインフラ輸出戦略が官民連携で着実かつ的確に進められるよう、わが国企業の関心国・地域と分野ならびに克服すべき課題について、昨年に引き続き、経団連の関係委員会の企業にアンケート調査を行い、この結果をもとに取りまとめたもの。提言のポイントは次のとおり。
■ 重点地域
(1)アジア
世界の成長エンジンであり、わが国との関係も密接なアジアが引き続き最重点地域である。特に、インドネシア、ベトナム、ミャンマーへの関心が高い。インドとメコン地域の間に位置するバングラデシュへの関心もにわかに高まっている。(2)中東・北アフリカ
産業多角化、脱石油依存、人材育成を目指している湾岸諸国ならびに中東と欧州の結節点であるトルコにおいても、インフラ需要が多数あり、わが国技術を活用した貢献の余地が拡大している。(3)中南米
資源が豊富であり、市場規模の大きいブラジル、メキシコ、コロンビアについては、今年夏の安倍首相訪問後、協力推進に向けた動きが再び活発化してきており、そのフォローアップが重要である。(4)アフリカ
従来から日本企業のビジネス拠点となっている南アフリカに加え、中間所得層の台頭が始まり、貧困撲滅から持続的成長の基盤構築にニーズがシフトしつつあるモザンビーク、ケニア、タンザニア等が挙げられる。(5)北米・ロシア・欧州・豪州
資源開発、高速鉄道、環境等の分野でわが国の技術が活かせる米国、ロシア・NIS、欧州、豪州等の先進国も重要である。
■ インフラ・システムの海外展開のための各種施策
ホスト国やわが国に求められる主な課題は次のとおり。
(1)基幹インフラ(電力、物流、交通、住宅、上下水道等)、中小企業の進出拠点となる工業団地等の整備における民間資金の活用
(2)民間資金の呼び水となる国際協力機構(JICA)海外投融資、国際協力銀行(JBIC)出融資、貿易保険(NEXI)の活用
(3)相手国にとって借りやすい、低利・長期の円借款供与(ミャンマー、ベトナム等における「借り渋り」の解消等が急務)
(4)中高所得国へのODA予算の柔軟な活用(無償を含む)
(5)技術力が評価される入札制度の整備、ローカルコンテンツ要求の緩和、不透明な税制・規制の改善等、ホスト国側における環境整備
(6)高速鉄道、省エネ、防災技術等わが国が強みを持つ分野を中心としたトップセールスの展開
※各国別の関心分野、ホスト国側ならびにわが国の課題については、提言本文
(http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/097.html)参照
【国際協力本部】