Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年12月11日 No.3204  四国地域経済懇談会を高松で開催 -「イノベーションによる四国の持続的発展と日本再興の実現」

あいさつする榊原会長

経団連(榊原定征会長)と四国経済連合会(四経連、常盤百樹会長)は3日、高松市内で「四国地域経済懇談会」を開催した。経団連から榊原会長はじめ審議員会議長、副会長が、四経連からは常盤会長はじめ会員約170名が参加。「イノベーションによる四国の持続的発展と日本再興の実現」をテーマに意見交換を行った。

開会あいさつで四経連の常盤会長は、四国経済は緩やかながらも回復基調が続いているとの認識を示したうえで、今後、四国が持続的に発展していくための課題として、「グローバル競争をいかに生き抜くか」「人口減少にいかに立ち向かうか」を挙げ、これらへの対応策を盛り込んだ四経連ビジョンを昨年策定したことを紹介。政府が進める地方創生は四国経済の発展にとっても大きなチャンスであり、四国の強みや特性を活かした地域づくりを進めていきたいと述べた。

続いてあいさつした経団連の榊原会長は、わが国の最重要課題はデフレから脱却し、経済再生を実現することとしたうえで、景気の実勢はGDPの速報値ほどは悪くないが、今が経済の再興に向けた正念場であり、経済の好循環の実現に向けて積極的に行動していく必要があると言及。各地の特色を活かした地域経済の活性化策として、四国地域における紙産業クラスターの高度化をはじめとする産業競争力強化に向けた取り組みは高く評価されるべきと述べた。

■ 意見交換

その後の意見交換では、四経連から出された12の問題提起に対し、経団連から、(1)四国の高速交通ネットワークの整備にあたり、四国新幹線の便益が費用を上回るとの試算は大きな前進であり、導入効果を積極的にアピールすべき(宮原耕治副会長)(2)今後のエネルギー・環境政策では、震災以降の電気料金上昇が国民生活と企業活動に大きな影響を与えており、審査体制の強化等による原子力発電所再稼働プロセスの加速が必要(木村康副会長)(3)社会保障と税の一体改革にあたっては、持続可能で成長と両立する制度の構築に向け、安定財源の確保と給付の重点化・効率化が必要(佐々木則夫副会長)(4)企業の防災・減災対策に資する施策では、南海トラフ巨大地震等への対策としてハード・ソフト両面合わせての対策が重要(岩沙弘道審議員会議長)(5)グローバル人材育成に向けた大学のあり方として、産学連携の取り組みが重要であり、経団連も協力している(中西宏明副会長)(6)四国が強みを持つ産業集積の高度化に向けては、既存産業に新しい付加価値を創出するイノベーションが重要であり、四国における産学官連携の取り組みを他地域も参考にすべき(内山田竹志副会長)(7)地方への産業誘致には、税制優遇措置等も重要であるが、地域が有する強みや潜在力を活かし、内発的発展につなげる取り組みも欠かせない(古賀信行副会長)(8)四国の1次産業振興にあたり、柑橘類等の特色ある1次産品のさらなる競争力強化に期待(小島順彦副会長)(9)四国におけるインバウンド観光振興に向けては、民間外交による交流の拡大、観光人材の育成、広域観光の推進が必要(荻田伍副会長)(10)四国産品のアジア輸出拡大にあたっては、国際的な品質基準の証明取得等を通じた品質のアピール、ブランド力向上が重要(勝俣宣夫副会長)(11)少子化対策の推進では、人口減少が経済活力の低下や地域社会の崩壊につながるという危機感、対策の重要性を国民の間で共有することが必要(大宮英明副会長)(12)地方分権の推進に向けては、地域の中核都市が地方経済を牽引することが有用であり、四経連による各県・自治体と企業との連携プロジェクトの推進を通じ、地域経済のさらなる活性化に期待(畔柳信雄副会長)――などのコメントがあった。

【総務本部】