経団連(榊原定征会長)の日本ベトナム経済委員会(高橋恭平共同委員長、中村邦晴共同委員長)は7日から9日にかけて、総勢40名でハノイを訪問し、ベトナム計画投資省(MPI)との間で、ベトナムの工業化戦略のもとでの両国間産業協力のあり方について議論する政策対話と、現地のビジネス環境の改善を図る枠組である日越共同イニシアティブを開催するとともに、サン国家主席をはじめとする政府首脳と会見した。
8日に開催した第2回政策対話では、(1)民間投資や技術移転などの産業協力(2)インフラ整備(3)人材育成――の三つのテーマについて、経団連側の参加企業が具体的な事例を紹介するとともに、当該事業の円滑化のための方策を要望したところ、ベトナム側から前向きな回答を得た。
また、翌9日に開催した日越共同イニシアティブ第5フェーズの最終評価会合では、ヴィン計画投資大臣と深田博史駐ベトナム大使と高橋共同委員長、中村共同委員長が共同議長を務め、ベトナム政府、日本国大使館、日本商工会、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)とともに、日本ベトナム経済委員会一行が出席した。
昨年7月に発足した第5フェーズは、104項目の課題をめぐり13のワーキングチームを立ち上げ、18カ月間にわたる検討と交渉の結果、過去4回よりも検討項目数が増えたにもかかわらず、例年どおりの高い達成率を維持することができた。例えば、外国人によるサブリース事業を可能とする不動産経営法の改正、模倣品の水際取り締まりの強化、通関の事前確認制度の明確化などの成果を上げた。
今回の成果を踏まえ、この枠組の重要性を日越双方であらためて確認し、正式に第6フェーズを立ち上げることで合意した。日本ベトナム経済委員会では、第6フェーズの新たな行動計画の作成に向けて、現地の日本商工会などの関係者の協力を得ながら検討を進めることとしている。
滞在中に一行はサン国家主席を訪問した。冒頭、国家主席から、これまで経済、貿易、投資などのあらゆる分野で日本企業がベトナムの発展に貢献してきたことに対して感謝の意が表された。また、投資環境をさらに整備するため、日本と協力していきたい、日本にはさらに投資を拡大してほしいとの期待が表明された。経団連側から政策対話と共同イニシアティブの成果を報告するとともに、農業、発電所、工業団地などの個別企業の協力案件について紹介したところ、国家主席からは具体的な支援が約束された。
なお、加えて一行は、クアン公安大臣、ハイ商工副大臣と会見し、日越産業協力の拡大策について意見交換した。
【国際協力本部】