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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年12月18日 No.3205 マイナンバー導入における企業の実務対応<3> -マイナンバーの適正な取り扱い

富士通総研経済研究所主席研究員
榎並利博

マイナンバー制度は、プライバシー問題と深くかかわる情報を取り扱うため、行政機関だけでなく、民間企業にも特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)の適正な取り扱いが求められている。ここでは民間企業における一般的な注意事項を中心に整理していく。

まず、社会保障・税の手続きのために社員のマイナンバーを管理・使用することは認められているが、それ以外の目的でマイナンバーを使うことはできない。例えば、マイナンバーを社員番号として使ったり、マイナンバーを使って社員の営業成績を管理したりすることは違法となる。たとえ本人の同意があったとしても、マイナンバー法に規定している以外の使い方は違法となることに注意が必要である。

次に、人事給与関係事務のアウトソーシングなど、個人番号関係事務の委託・受託については問題ないが、若干の制約条件が付く。受託者の場合、委託者の許諾を得ずに勝手に再委託することは禁止されており、委託者は受託者に対する監督責任を負うことに注意が必要である。

さらに、国民のプライバシーに深くかかわる情報を扱うため、不正行為を含む違反行為については罰則が規定されており、住民基本台帳法よりも約2倍の重さとなっている。注意が必要なのは、罰せられるのは違反行為をした者だけでなく、その法人も管理監督責任を問われることである。

マイナンバー法は個人情報保護法の特別法という位置付けだが、個人情報保護法と異なる点があることに注意が必要である。一つは、死者のマイナンバーも保護の対象となること、もう一つは、個人情報保護法の対象とならなかった事業者(保有する個人情報が5000件以下の事業者)も対象となることであり、すべての事業者が特定個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じるとともに、従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないとされている。

実務上では2016年1月から社員および家族のマイナンバー収集が始まるが、ここでは「なりすまし防止のため厳格な本人確認」が求められる。本人確認措置の原則として番号確認と身元確認が要求され、(1)個人番号カード(番号確認と身元確認)(2)通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)(3)個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)――の三つの方法が原則となる。顔写真付き証明書を持っていない場合、代理人から提供を受ける場合など、必要な書類がこと細かく決められており、それらに従って実務を実行していかなくてはならない。

個人番号カードについて
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次回は「マイナンバーの取り扱いにおける安全管理措置」について解説する。

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