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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月19日 No.3212 「フランスの経済外交」 -リシャール・コラス氏(シャネル社長)から聞く/経済外交委員会企画部会

説明するコラス氏

経団連の経済外交委員会企画部会(清水祥之部会長)は6日、東京・大手町の経団連会館でシャネルのリシャール・コラス社長から、「フランスの経済外交」について説明を聞いた。コラス氏は在日フランス商工会議所会頭や欧州ビジネス協会会長を歴任、民間経済外交の担い手として日仏・日欧の交流拡大に寄与した功績により、レジョン・ドヌール勲章や国家功労勲章を受章している。
説明概要は次のとおり。

■ 日仏クラブを通じた最近の二国間交流

日仏経済界はこれまで四半世紀、両国の多様な企業のトップで構成される「日仏クラブ」を通じて、経済・文化交流を深めてきた。近年は、原子力協力などエネルギー問題への対応や企業統治に加えて、西アフリカ諸国など第三国における日仏協力が主要な議題である。

とりわけフランスが歴史的に関係の深い西アフリカへの日仏共同投資を含め、経済協力の具体化について模索している。

日本とフランスが互いに学び合いながら、いかに協力を進めていくかが今後の課題である。

■ 日欧は統合的な経済連携協定を結ぶべき

私は欧州ビジネス協会会長(2002~09年)として、「日本と欧州連合(EU)の間で、貿易・投資にとどまらない、より高度で統合的な協定を締結すべき」旨、関係方面に提言してきた。

日本と欧州の資本主義は、米英型の資本主義とは若干異なる。例えば、日欧の企業は株主利益を重視しつつも、同時に従業員を大切にする風土を有している。このような企業文化や価値観を守ることが重要である。交渉中の日EU経済連携協定の早期締結を期待したい。

■ フランスに学ぶブランド化の取り組み

日本がフランスから学ぶものがあるとすれば、ブランド戦略ではないか。ブルターニュ地方では、世界的に有名なゲランドの塩を生産し、日本の天然塩の約10倍の価格で販売している。ゲランドというブランドの確立により、単なる塩が世界中で売れているのである。

日仏両国とも、職人の匠の技などモノづくりにこだわりを持ち、共通点が少なくない一方、製品の裏にあるロマンを語るブランド化が日本人は不得手であるように思う。

夕張メロンやコシヒカリなど、他国に類をみない素晴らしい農産物が世界的に知られていない。日本にはよいものをつくれば売り込む必要はないとする考え方が根強いが、フランスは商品に物語性を与えるブランド戦略が巧みである。

折しも和食が世界無形文化遺産に登録された今、日本酒をはじめ、地方性・独自性を物語るブランド化に取り組んでいくことが輸出拡大のカギを握る。

■ 経済交流の歴史から展望する日仏協力の将来

日本のモノづくりの素晴らしさをフランスほど理解している国はない。明治維新の後、フランスは他国に先駆け、日本で最も古い外国商工会議所を横浜に開設し、絹生産・貿易を皮切りとして日仏両国のビジネス交流を展開してきた。

フランスは、文化とビジネスの融合に長けているが、日本のモノづくり文化から学ぶことも多い。先人が築いた歴史を踏まえ、今後とも日仏経済外交を推進していきたい。

【国際経済本部】

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