1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2015年3月19日 No.3216
  5. 「我が国財政の現状及び今後の見通し」を聞く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年3月19日 No.3216 「我が国財政の現状及び今後の見通し」を聞く -財務省主計局の寺岡調査課長から/財政制度委員会・社会保障委員会合同企画部会

経団連の財政制度委員会・社会保障委員会合同企画部会(太田克彦財政制度委員会企画部会長・浅野友靖社会保障委員会企画部会長)は2月20日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、財務省主計局の寺岡光博調査課長から、「我が国財政の現状及び今後の見通し」をテーマに説明を聞いた。概要は次のとおり。

1.我が国財政の現状

2015年度一般会計予算は総額96.3兆円となった。歳出面では、国債費、社会保障費、地方交付税の占める割合が年々増加する一方、公共事業、文教・科学技術など他の政策的経費の比率が低下している。歳入面では、公債金が09年度以来初めて30兆円台に低下したが、依然、歳入の4割近くを借金に依存する構造に変化はない。

国債費を除く政策的経費を当年度の税収、税外収入で賄えているかどうかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は、15年度は13.4兆円の赤字と、国・地方を通じた半減目標が達成される見込みとなってはいるが、国の普通国債の残高は15年度末には800兆円を超える見込みであるなど、依然厳しい状況に変わりはない。

2.財政健全化の必要性

財政赤字の拡大は、政策の自由度の低下、民間部門の資金調達の阻害、金利上昇リスクの高まりなどさまざまな問題をもたらすと考えられている。

特に、我が国ではこれまで、家計を中心とする国内の資金余剰が大量の国債の消化を支えてきたが、近年、家計の貯蓄率の低下、あるいは経常収支の縮小など、我が国の資金循環に変化が生じており、国債の安定的消化のためにも財政健全化を進めておく必要性は高まっているといえる。

3.財政健全化に向けた取り組み

我が国の財政健全化目標では、15年度までに国・地方を通じたPB赤字を半減させ、20年度にはそれを黒字化し、その後、債務残高対GDP比を安定的に引き下げるとしている。

内閣府の試算によれば、20年度の目標については、今後、名目3%以上の高い成長を続けていっても(経済再生ケース)、PB赤字対GDP比はマイナス1.6%残る姿が示されている。したがって、20年度の財政健全化目標を堅持するためには、歳出改革、とりわけ社会保障を中心とする改革を続けていく必要があると考えている。

4.高齢化の進展と社会保障の改革

社会保障給付費は、毎年度3兆円程度伸び続けており、14年度には115兆円、25年度には150兆円に迫ると見込まれている。その財源として、我が国は社会保険制度をとっているが、近年は、保険料収入が伸び悩み、公費の割合が大きくなっている。そして、そのかなりの部分は借金に依存し、次世代の負担として残されているのが現状である。

今後、社会保障費については、人口の高齢化によりますます増加することが見込まれているが、受益と負担のバランスを確保し、持続可能な制度を構築する必要がある。

このため、財政制度等審議会などでは、社会保障費の伸びを人口の高齢化による部分とそれ以外の高度化等による部分に分け、高齢化の伸びを超える部分については、徹底的な合理化により抑制し、持続可能な制度とする必要性が指摘されている。今後、改革の具体策に関する活発な議論が行われることが期待されている。

【経済政策本部】

「2015年3月19日 No.3216」一覧はこちら