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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年4月9日 No.3219 パッソス・コエーリョ・ポルトガル首相と懇談 -日EU EPAの年内大筋合意に向け理解と支援求める

左から佐々木副会長、パッソス・コエーリョ首相、
大宮副会長、佐藤ヨーロッパ地域委員会共同委員長

経団連(榊原定征会長)は3月27日、東京・大手町の経団連会館でペドロ・パッソス・コエーリョ・ポルトガル首相一行との懇談会(座長=佐藤義雄ヨーロッパ地域委員会共同委員長)を開催、大宮英明副会長、佐々木則夫副会長らが出席した。冒頭、佐藤共同委員長からは、両国経済関係の発展のためにも日EU経済連携協定(EPA)の年内大筋合意が不可欠として、首相の理解と支援を求めた。
パッソス・コエーリョ首相の発言の概要は次のとおり。

身の丈に合わない借り入れと競争力を欠く分野への投資によって、わが国経済は危機に陥ったが、増税など国民に忍耐を強いる3年間にわたる構造改革により、昨年5月にEU、IMFなどによる調整プログラムを終了した。今後は、法人税率の引き下げ、民間投資の促進、観光・再生可能エネルギー・農業・IT等の分野への注力によって経済の競争力を強化していく。

実質経済成長率は、昨年0.9%と前年比2.3ポイント上昇した。スペイン、ドイツへの輸出の回復と堅調な観光収入が寄与している。わが国の対外収支は、数十年間にわたり赤字だったが、債務危機を乗り越えるなかで悪循環を断ち切り、黒字に転換した。昨年の失業率は13.9%と依然として高いが、前年比2.3ポイント改善している。10年物国債の金利も低率で安定しており、わが国経済に対する市場の信認の反映と考えている。IMF融資の前倒し返済で利払い費用を節約する。

わが国の対日輸出が減少傾向にあるなか、日本との一層緊密な関係の構築は最優先課題の一つである。在ポルトガル日系企業は約60社で、いずれも長期間にわたって根を下ろし高い評価を得ており、さらに日本からの投資を増やしたい。

改革によって競争力ある経済を実現し、進出した企業がグローバルに競争しやすい環境を整備していく。国営企業の民営化は、日本の企業・投資家にもさまざまなチャンスをもたらすであろう。産業技術総合開発機構(NEDO)と協力して進めているスマートシティ以外にも再生可能エネルギー分野など新たなプロジェクトを探りたい。また、高齢化社会の到来はビジネスチャンスも提供している。

昨年、ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)への日本のオブザーバー参加が承認された。アンゴラ、モザンビーク等の国々で構成されており、ポルトガル語を仲介として新たなビジネスチャンスが生まれる可能性がある。海洋を通じたビジネスチャンスも活かしていきたい。

わが国は、日EU EPAを常に支持してきた。非関税障壁や公共調達にも及ぶバランスの取れた協定を望む。また、地理的表示・衛生植物検疫などの問題を、双方にとって有益なかたちで解決することが最優先課題である。開かれた自由な通商こそ、世界の平和と安定した経済・雇用につながっていくと考えている。

【国際経済本部】

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