経団連は3月2日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会(加藤泰彦共同委員長、高橋恭平共同委員長)を開催し、資源エネルギー庁の上田隆之長官から、最近のエネルギー政策について説明を聞いた。上田長官の説明概要は次のとおり。
(1)石油・石油製品価格の動向
最近、下落を続けていた原油価格は少し持ち直したが、依然として低い水準にある。この低水準が将来にわたって続くとは思わないが、当面1バレル50~60ドルで推移するという識者が多い。
原油価格の下落により、消費国経済が活性化する一方、産油国の政治・経済が混乱した。日本では、エネルギーコストの低下により、企業収益や賃金等が押し上げられた。
(2)エネルギー分野のシステム改革
電力システム改革は3段階で実施されることになっており、送配電部門の法的分離を盛り込んだ第3弾の改正法案が今通常国会に提出される予定である。電力会社の経営状況を勘案し、法的分離の実施時期を2020年にするとともに、需給状況等の検証と、必要な措置を講じることが法案附則に明記されている。
また、これまでの政府・与党での審議の結果、ガスシステム改革については、(1)小売参入全面自由化(2017年から)(2)ガス導管網の整備促進(3)需要家保護と保安確保(4)大手3社の導管部門の法的分離の実施――という4つの柱で構成されることとなった。
(3)原子力政策
高浜原子力発電所の3・4号機については、2月に原子力規制委員会により原子炉設置変更許可がなされ、今後、工事計画認可や使用前検査等を経て再稼働となる。政府は、再稼働へ向けて地元の理解活動を進めるとともに、内閣府を中心に避難計画の内容充実を支援している。
(4)エネルギーミックスの検討状況
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に、長期エネルギー需給見通し小委員会を設置し、1月からエネルギーミックスの検討を開始した。検討に際しては、温室効果ガス削減、コスト低減、安定供給、中東・原子力発電依存度の低下といった点を考慮する必要がある。それらすべてを満たすエネルギーが存在しないなか、国民に受け入れられやすいエネルギーミックスの案をつくる必要がある。
【環境本部】