経団連は14日、「わが国経済外交のあり方に関する提言」を公表した。
提言の概要は次のとおり。
■ 基本的な考え方
これまでにない多様なリスクがグローバルに拡大、波及するなか、成長の基盤である国際社会の平和と安定をいかに維持し、強固なものとするかが重要な課題となっている。わが国として、普遍的価値に立脚した積極的な外交を通じて、国際社会から高い信頼を勝ち取っていくことが求められる。
折しも今年は、アジア近隣諸国との関係の改善、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)等の重要な協定の妥結、また気候変動といった地球規模の課題に対する日本の取り組みが問われる節目の年でもある。経済界としても、世界最高水準の技術・ノウハウの移転はもとより、モノづくりに対する姿勢など日本ならではの企業文化・経営理念のもと、グローバルなビジネス展開を通じて、国際社会にこれまで以上に積極的に貢献していく必要がある。
■ わが国を取り巻く環境に対する現状認識
新興国の台頭に伴い、国際社会における日本のプレゼンスは著しく低下している。こうしたなか、世界の成長センターであるアジア太平洋地域の平和と安定に寄与しつつ活力を取り込むことにより、国民生活を豊かにし、あらためてわが国のプレゼンスを向上させる必要がある。
そこで、経済外交を戦略的に推進する体制を強化し、価値を共有する国々との連携を通じて良好な環境を整備するとともに、技術やサービスなど日本の強みを世界に展開していくべきである。
■ 経済外交を通じて強化すべき基盤
わが国が国際社会で伍していくうえで、資源・エネルギーと食料の安定的な供給を確保することが絶対不可欠な要件である。
資源・エネルギー安全保障の強化に関しては、とりわけ資源・物資の輸送経路を確保する観点から、インド洋など地政学的に重要なシーレーンの防衛や海洋安全保障戦略の強化が求められる。
一方、食料安全保障の強化については、不測時への対応の一環として、例えば途上国等の農業生産性の向上に資する投資促進等が効果的である。
■ 経済外交推進のための体制・能力の強化
経済外交を戦略的に推進するためには、(1)情報収集・発信力の向上(2)在外日本企業・邦人の保護対策の拡充(3)サイバーセキュリティーの強化(4)「開発協力大綱」を通じた日本企業の海外展開への支援拡充(5)経済・貿易のルール・メーキングや国際標準化に向けた取り組み強化(6)国際機関・フォーラムの戦略的活用に向けた官民連携の強化――が極めて重要である。
とりわけ(2)については、危険地域等の治安情勢にかかる情報収集・分析、民間企業との双方向の情報共有が喫緊の課題である。他方、(4)に関しては、例えばインフラ輸出等への後押しが求められる。
■ 経団連の取り組み
経団連としても、企業の危機管理能力の向上を促進しつつ、ハイレベルミッションや二国間合同会議等、民間経済外交をさらに推進していく。
あわせて、総理・閣僚同行ミッション派遣への協力ほか、日本政府との連携を一層強化していく。
※提言の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/038.html 参照
【国際経済本部】