経団連は7月30日、東京・大手町の経団連会館で農業活性化委員会(十倉雅和委員長、佐藤康博委員長)を開催し、農林水産省の皆川芳嗣事務次官(当時)をはじめ同省幹部から、農業の成長産業化に向けた重要施策について説明を聞き意見交換した。
冒頭、皆川事務次官は、「安倍政権になって、農業に新しい施策が取り入れられてきた。農業の付加価値額は高くはないが、地域経済を引っ張るだけの潜在力はある。経済界と連携しながら引き続き取り組みを強化したい」とあいさつした。
続いて、山口英彰経営局審議官が、農地中間管理機構の取り組み状況、企業参入の現状、さらには農業界と経済界との連携等について説明。特に、農地集積の現状について、「農地中間管理機構の始動により、担い手が利用している農地面積の割合は前年度末の48.7%から50.3%に上昇し、農地集積に動き出したものの、今後10年間で全農地面積の8割が担い手によって利用されるという目標の達成には、同機構を軌道に乗せ、実績を大幅に拡大することが必要」と指摘。「農地貸し付けに対する税制上のインセンティブを含め、一層取り組みを強化したい」との考えを示した。
次に、石田寿政策評価審議官は、6次産業化を通じた農業の成長産業化について、現在実施している農林漁業成長産業化ファンド(A‐FIVE)の取り組み状況を説明。「6次産業化事業体への出資件数は、2015年7月末に63件に増加し、活用が進んでいる(13年度末は8件)」として、同ファンドへの企業の積極的な参加を呼びかけた。
このほか、畜産物および農業生産資材のグローバル展開支援や、研究成果の技術移転の加速化、国産材の需要拡大等について説明があった。
意見交換では、委員から、「農地集積が十分に進んでいるとは言い難い。一層の取り組み強化が必要」「輸出拡大に向け、各国の安全性基準・検疫制度の相互認証や、農業生産工程管理(GAP)および危害分析・重要管理点(HACCP)等の認証基準の導入等を促進すべき。特に、巨大市場である中国への輸出促進に向けた環境整備が必要」「農業経営者の育成にも力を入れるべき」といった意見があった。
【産業政策本部】