経団連は7月27日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会(下村節宏委員長)の2015年度総会を開催した。同総会では、14年度の活動や収支決算および15年度の活動計画や収支予算が報告されるとともに、宮永俊一副会長が副委員長に就任することが承認された。
続いて内閣府の小宮義則宇宙戦略室長から、6月に政府の宇宙政策委員会が策定した「中間取りまとめ」について説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。
■ 「中間取りまとめ」の概要
今年1月に政府が決定した宇宙基本計画では、安全保障を重視した。また、宇宙機器産業の事業規模として官民合わせて10年間で5兆円を目指すこととした。
アメリカは、宇宙基本計画を歓迎している。4月末に行われた日米首脳会談の成果文書や、改訂された日米防衛協力のための指針において、日米宇宙協力の重要性が確認された。
宇宙基本計画の工程表は毎年1回改訂される。政府の宇宙政策委員会は、6月24日に「中間取りまとめ」を策定し、7月3日に開催された宇宙開発戦略本部の会合において、安倍総理から年末までに工程表を改訂するよう指示が出された。
「中間取りまとめ」の検討項目には、例えば、高精度の測位を行う準天頂衛星システムの民生分野および安全保障分野における利活用の促進がある。また、新型基幹ロケットについては、今年度に総合システムを基本設計し、来年度にその詳細設計に着手するとしている。国際宇宙ステーションについては、2020年から24年までの運用延長への参加の是非について、総合的な検討を加速する。
また、来年度の通常国会への提出を目指している宇宙活動法および衛星リモートセンシング法について、各法律の基本的考え方を示した。宇宙活動法の許可・監督の対象はロケットの打ち上げや人工衛星の管理等である。また、第三者への損害賠償制度についても検討する。衛星リモートセンシング法については、管理すべき衛星リモートセンシング画像データ等の範囲等について検討する。
民生分野における宇宙利用として、農業や交通システムなどの衛星データと地上のビッグデータを融合させた取り組みを推進する。
官民が一体となって、海外における商業宇宙市場の開拓に取り組むため、宇宙システム海外展開タスクフォースを今夏に立ち上げる予定である。
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総会終了後、懇親会が開催され、宇宙開発利用推進委員会のメンバー、山口俊一内閣府特命担当相、国会議員、政府関係者、有識者など約160名が参加した。
【産業技術本部】