Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年8月27日 No.3236  「特区制度の現状と成果」で説明聞く -行政改革推進委員会規制改革推進部会

経団連は7月21日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会規制改革推進部会(竹村信昭部会長)を開催。内閣府地方創生推進室の藤原豊次長から「特区制度の現状と成果」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

1.これまでの特区制度

2002年、当時の小泉政権は構造改革特区制度を創設。地域限定で規制改革を実現して地域活性化を図るとともに、特例措置の全国展開を積極的に推進した。同制度の主な成果として、(1)農業の株式会社参入促進(2)特定供給制度における非電力の参入促進(3)公の施設の指定管理者制度の創設――などが挙げられる。その後、民主党政権は10年に総合特区制度を創設。予算や税制で地域を応援する仕組みであり、規制改革以外にも注力した。その後、第2次安倍政権は13年に国家戦略特区制度を創設し、14年3月に東京圏をはじめ6カ所の特区の指定を決定した。指定地域には、特区担当大臣・首長・民間で構成される区域会議を設置。同会議で具体的な事業を決定し、総理や各大臣・民間議員が出席する諮問会議において認定する。

2.国家戦略特区の成果と今後の展開

国家戦略特区は、10年来の岩盤規制等を総理・内閣主導で突破する仕組みである。これまで、雇用、医療、農業、教育等の分野で規制改革を実現し、6区域で68の事業を認定した。

今後の展開に向けては2つの方向性が存在する。1つ目は規制の特例措置にかかるメニューの拡充である。今年7月8日には特区法の改正法案が成立し、「創業人材等の多様な外国人の受け入れ促進など」「外国人家事支援人材の活用」「起業・開業促進に向けたワンストップセンターの設置」「地域限定保育士の創設」などを新たに盛り込んだ。

2つ目は特区の対象地域の拡大である。今年3月に地方創生特区(国家戦略特区の第2弾)として3地域の指定を決定。ドローンや自動走行システムをはじめとする新技術の実証実験や、ソーシャル・イノベーション創出に向けた起業の促進にも取り組むこととした。

安倍総理は、国家戦略特区の3次指定(地方創生特区の第2弾)に意欲をみせており、6月30日に閣議決定した「『日本再興戦略』改訂2015」においてもその旨記載した。特区の集中取組期間が残り1年弱となるなか、残されたテーマをどこまで実現できるかが重要だ。

【産業政策本部】