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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年9月17日 No.3239 COP21に向けた主要論点で経産省と意見交換 -環境安全委員会・地球環境部会合同会合

今年末にフランスのパリで開催される国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、気候変動政策に関する2020年以降の新たな国際枠組みの合意が目指されている。そこで、経団連の環境安全委員会(木村康委員長、徳植桂治委員長)は8月27日、東京・大手町の経団連会館で同委員会地球環境部会(佐久間総一郎部会長)との合同会合を開催し、経済産業省の井上宏司産業技術環境局長から、COP21に向けた主要論点について説明を聞くとともに意見交換を行った。

その後、「新たな気候変動枠組みの構築に向けた提言」(案)について審議し、環境安全委員会として了承した。
説明の概要は次のとおり。

■ COP21に向けた国際交渉の現状

COP21に向けた国際交渉においては、(1)各国の気候変動政策に関する「約束」に法的義務を課すか否か(2)「先進国」と「途上国」の従来の二分論を維持するか否か(3)具体的な長期目標を設定するか否か――といった点が主要な論点となるだろう。

過去10年間、途上国の温室効果ガス排出量は大幅に増加し、2010年時点で世界全体の6割超を占めるようになったことから、先進国のみならず、途上国も参加する実効的な枠組みの構築が何より重要である。

政府としては、新たな国際枠組みが、一部の先進国だけが削減義務を負い、主要排出国は参加しない実効性の欠いたものとならないよう、交渉に臨んでいく。

■ 日本の約束草案

日本は今年7月、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比マイナス26.0%とする目標を盛り込んだ「約束草案」を決定し、国連に登録した。この目標は、具体的な対策・施策の積み上げによって設定したものであり、公平性・野心度は他国に比べて遜色ないものとなっている。

JCM(二国間クレジット制度)については、温室効果ガス削減目標積み上げの基礎とはしていないが、日本として獲得した排出削減・吸収量をわが国の削減として適切にカウントする。

■ 省エネに向けた取り組み

「約束草案」の実現に向け、2030年度までに原油換算で5000万キロリットル程度の省エネが必要となる。これは、石油危機後の取り組み実績に匹敵する大幅なエネルギー効率の改善であり、産業・運輸・業務・家庭の各部門における取り組みが重要となる。経済界の取り組みの柱である「経団連低炭素社会実行計画」を着実に推進するとともに、これまで十分な成果が挙がっていない家庭部門については、新たな国民運動「COOL CHOICE(クール・チョイス)」を強力に実行するため、これまで以上に取り組みを強化していく必要がある。

■ 技術による温暖化対策の重要性

政府は、温暖化問題解決に資するイノベーションについて、世界の産学官のリーダーが議論する国際会議「ICEF(アイセフ)」を昨年から東京で開催しており、今年は10月7、8日の2日間開催する。技術による温暖化対策の重要性を世界にアピールする機会であり、経団連にも協力をいただきたい。

また、先進国から途上国への技術移転を促進する国連の技術メカニズム(CTCN)に、日本版の低炭素技術リストをインプットするとともに、資金メカニズム(緑の気候基金)との連携を図ることにより、日本企業が海外における意義のあるプロジェクトに参画できるようにしていきたい。

【環境本部】

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