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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年10月8日 No.3241 「企業価値向上に向けた社外取締役の役割と責任」 -コーポレート・ガバナンスセミナー開催

説明する澤口弁護士

経団連と経団連事業サービスは9月10日、東京・大手町の経団連会館でセミナー「企業価値向上に向けた社外取締役の役割と責任」を開催した。今年6月のコーポレートガバナンス・コード適用開始を受け社外取締役を選任する企業が増加していることを踏まえ、その活用策や役割・責任について理解を深めるのが目的。

セミナーでは、森・濱田松本法律事務所の澤口実弁護士から社外取締役の役割等について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

1.社外取締役の役割・責務に関する議論の変遷

過去のコーポレート・ガバナンス論議においては、社外取締役の位置づけ、責務や機能については十分な議論がされてこなかったが、2014年会社法改正の検討の前後から、社外取締役の責務や取締役会の役割についての議論が本格化してきた。

2.コーポレートガバナンス・コードにおける社外取締役の役割

政府の成長戦略を受けて、証券取引所の上場ルールとして今年6月から適用が開始されたわが国のコーポレートガバナンス・コードは、取締役会の責務を(1)企業戦略等の大きな方向性を示すこと(2)経営陣による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと(3)独立した客観的な立場から経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと――と位置づけている。

そのうえで社外取締役については、「原則4―7」で中長期的な企業価値向上の観点からの経営の方針や経営改善についての助言、利益相反の監督等4つの主要な役割・責務を規定している。

3.社外取締役の活躍のための留意点

社外取締役の活用のためには、前記したコードの原則を参考に、まずは求める役割・責務について、取締役会での整理や議論が必要である。社外取締役に何を期待すべきなのか、何を期待すべきではないのか、まずは十分な議論をして、取締役会で認識を共有することが重要である。

また、どのような整理からも、社外取締役の活躍のために必要・有益な情報は提供されるべきである。その情報は多ければいいというわけではなく、検討や意思形成に合理的な情報量とすべきである。ただし、資料のすべてに目を通すことを目的に情報を過度に絞る必要はない。

コードで例示されている「筆頭独立社外取締役」については、社外取締役がまだ少数である多くの企業では、そのまま形式的に選任する意義は乏しい。一方、任意の諮問委員会については、わが国のように社内取締役の多い取締役会では独立性の観点から相応の意義がある。

4.社外取締役の責任等

従来、社外取締役は登用が少なかったことから、会社や株主への賠償責任に関する裁判例は参考とすべきものが少ない。最近では社外取締役の責務等を判断要素に加えるものも散見され始めているが、事案や判断に普遍性が乏しい。ただ、上場会社の取締役一般の賠償責任に関する司法判断を参考にすると、社外取締役は社内取締役よりも原因事象への距離が遠いこと等から、任務懈怠と評価されるべき事案は限定的と考えられる。賠償責任を過度にとらえることなく、経営者による適切なリスクテイクを支える視点も重要だ。

【経済基盤本部】

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