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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年10月22日 No.3243 「規制改革と経済成長」 -早稲田大学の山本教授が講演/行政改革推進委員会

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会(間塚道義委員長、野木森雅郁委員長)を開催。早稲田大学商学学術院の山本哲三教授から「規制改革と経済成長」をテーマに説明を聞いた後、提言案「規制改革の今後の進め方に関する意見」を審議した。
山本教授の説明の概要は次のとおり。

1.規制改革の意義

規制改革は、経済活性化の手段であると同時に、政府のあり方・かたちを問うものである。米国では、「大きな政府」と「小さな政府」をめぐる対立が起きたこともあるが、重要なのは、経済成長の最大化に向けて政府の規模を適正化することにある。「ロバーツ・カーブ」(注)および「BARSカーブ」に基づく実証分析によれば、先進国では政府規模が最適なポイントを超えて肥大化しているとの結果もあり、規制改革等を通じて最適な政府規模を達成することが望ましい。

(注)ロバーツ・カーブ=縦軸にGNP(国民総生産)、横軸に規制の数(≒政府規模の代理変数)を取った逆U字型の理論モデル

2.規制の現状と残された問題

わが国では、高度経済成長期に族議員・官僚・利益集団のトライアングルが確立され改革の妨げとなっていたが、バブル崩壊後に亀裂が入った。その後、複数の政権がリーダーシップを発揮して規制改革に取り組んだ結果、以前に比べ規制緩和が進むこととなった。

残された問題として3つ挙げられる。1つ目は、ネットワーク型公益事業の改革であり、自然独占分野において競争政策を導入することが重要である。2つ目は、社会的規制の改革である。市民の社会生活にかかる問題であり、格差問題につながるおそれもあるため、「経済的規制は原則廃止、社会的規制は必要最低限度」という原則に基づきつつも、慎重に取り組む必要がある。3つ目はユニバーサル・サービスの見直しであり、時代や社会の変化に応じてその定義を見直す必要がある。

3.政権の取り組みと今後の進め方

安倍政権は、農業、医療、雇用等の岩盤規制改革に取り組んでいるが、いまだ改革は不十分、不徹底である。農業分野では、農協法の改正を実現したが、6次産業化に向けて企業参入を促すさらなる規制改革が求められる。雇用分野では、労働者派遣法の改正が均等待遇に向けた足がかりとなることが期待されるも、労働市場の二極化(正規・非正規)を招く可能性もあるため、今後の状況を注視する必要がある。また、岩盤規制改革が国家戦略特区に依拠しすぎるのも問題である。小泉政権時代につくられた構造改革特区の効果は、10年間で経済効果は1兆円に届かず、現在では自治体からの新規提案もなくなってしまった。中央突破しないと大きな効果は得られず、国際的にも評価されない。

今後、規制改革を進めるにあたり、(1)省庁から独立機関への規制政策の権限委譲(2)規制条項の整理とコード化(3)規制影響分析(RIA)の定量化――を行うべきである。

加えて、政府支出の削減と経済成長の両立に向け、(1)電波オークションの実施(2)コンセッションの推進(3)行政簡素化――に取り組むことが必要である。

【産業政策本部】

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