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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月3日 No.3249 「ストレスチェック準備セミナー」開催

労働安全衛生法の改正によりストレスチェック制度が今年12月1日から施行となることを受け、経団連は11月17日、東京・大手町の経団連会館で約120名の参加者を得て「ストレスチェック準備セミナー」を開催した。

ストレスチェック制度の目的は、労働者個人が自らのストレス状況を知り、その解消を図り、メンタルヘルス不調の未然防止につなげることである。このことを事業者は十分認識する必要があり、同制度の目的を理解し、丁寧な準備のもと、十分な周知を行い、確実に実施することが求められている。

■ ストレスチェック制度の導入にあたって

増田氏

まず、ストレスチェック制度の施行に向けた厚生労働省の検討会に委員として参加したイオン・イオングループ統括産業医の増田将史氏が講演した。

冒頭増田氏は、ストレスチェック制度だけでは、メンタルヘルス対策としては不十分であると指摘。セルフケアやラインケアなどの4つのケアを他の対策と併用することで、より実効性の高い運用となると述べた。

さらに制度の課題として、外部機関に実施を委託した場合、産業医が結果を把握できないために対応が遅れ訴訟リスクが高まること、労働者側に受検義務はなく、メンタルヘルス不調を知られたくない者は受検しない可能性が高いことなどを挙げた。それらの懸念に対しては、メンタルヘルス対応に長けた産業医を確保し、面談等を経て得られた就業上の意見を事業者と共有できる体制の構築が必須であり、労働者にストレスに対する正しい認識を持たせることが不可欠であると述べた。

■ 企業経営に活かすストレスチェック制度

栗林氏

次に、日産自動車人事本部安全健康管理室の栗林正巳氏が、メンタルヘルス対策の先進事例として、自社の取り組みを紹介した。

同社は毎年6月に「ナビチェック」という100問のテストを実施している。その結果から、「高ストレス」と判断された個人にはセルフケアの勧奨を行い、組織分析において「課題あり」と判断された部署には、管理職に対してマネジメント改善方策を提示し、職場環境の改善を図ってきた。各部署の課題を判断する職場改善指標は、項目が多いと課題が不明瞭となるため8項目に限定しており、今後も方針を変えず実施していくと述べた。

またメンタルヘルス不調者の復職にあたっては、再発防止を第一に考え、自社の職場に適したカリキュラムを導入した社内リワーク施設を設立したとして、その活用状況等について説明した。

■ ストレスチェック制度の法的留意点

石井氏

最後に、太田・石井法律事務所の石井妙子弁護士が、制度導入にあたっての事業者の課題と留意点を解説した。

ストレスチェックの結果や、それによる面接指導の結果を理由として、解雇等の措置を行うことは不利益取扱いの禁止に該当し、法令違反の対象となるため、より慎重な対応が必要と指摘。事業者に、面接指導を実施する医師に対し、当該労働者の職場での状況や、担当職務の内容を具体的かつ適切に伝えたうえで意見聴取を行うことを求めた。さらに、事業者としては、ストレスチェックの実施だけではなく、普段からのメンタルヘルス対策が重要であり、上司等が不調者の早期発見に努めなければならないと述べた。

【労働法制本部】

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