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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月10日 No.3250 「2016年卒就職戦線の実態」 -就職みらい研究所の岡崎所長が講演/雇用政策委員会

経団連は1日、都内で雇用政策委員会(岡本毅委員長、進藤清貴委員長)を開催し、リクルートキャリア就職みらい研究所の岡崎仁美所長から「2016年卒就職戦線の実態」と題して講演を聞き、意見交換を行った。
講演の概要は次のとおり。

■ 求人倍率の高騰と時期変更による構造変化

2016年卒の採用市場は求人倍率が2年連続で上昇し1.73倍の高水準となるなかで、政府の要請により、長年定着していた4月選考開始が4カ月繰り下げられ、企業の対応が8月以降の面接開始から例年どおりの4月面接開始まで分散した結果、混乱が生じた。かなりの数の中堅中小企業や採用難企業が、採用予定者数を確保するために、解禁前に先行逃げ切りの戦略を選択し、内定出しの時期が大手企業と逆転した。

■ 就職活動に出現した5つの異変

16年卒の就職活動では5つの異変が生じた。第1は、企業の内定出しのタイミングの分散化により、学生の内定取得が4月集中から4~8月分散に変わったことである。第2は、大手企業の選考が8月開始となったため、内定取得後も活動を継続する学生が多かったことである。第3は、10月1日時点の、全内定取得者に占める重複内定者の割合と、取得内定社数の平均値が過去最高レベルとなったことである。第4は、企業の学生への初期接触について、個別化が広がり、OB・OG訪問やリクルーター、会社説明会といったオフラインの形態にシフトしたこと。加えて厳密には就職活動プロセスではないものの、インターンシップがいよいよ「一般化」と見なせるレベルに浸透したことである。第5は、広報解禁前に活動する学生が大幅に増加し、活動期間が長期化したことである。

■ 採用現場の対応と総括

求人倍率が上昇するなかでスケジュールが大幅に変更されたため、企業は当初から16年卒採用に危機感を募らせ、説明会の増加やリクルーター等による直接接触の強化などで対応した。しかし、内定辞退者は増加し、採用効率は低下したとの実感が高まった。その結果、7割超の企業が、従前のスケジュール(12月広報開始、4月選考開始)が良いと回答している。

■ 17年卒採用の展望

選考開始時期が6月となった場合、大手企業の活動終了後に、二次募集を行う企業の増加が予想される。また、冬季インターンシップが強化され、広報解禁直後の面接の増加も予想される。混乱を抑えるためには、新スケジュールの周知徹底を図るとともに、海外留学生や教育実習生、地方学生などが不利益を被らないよう、企業には柔軟な対応が求められる。加えて、ガイドラインの実効性確保に向けて、大学「申合せ」の周知徹底が重要である。

◇◇◇

講演の後、深澤祐二雇用政策委員会政策部会長が、「採用選考に関する指針」「手引き」の改定案について説明を行い了承された。また、労働政策審議会での検討状況に関する報告が行われた。

【労働政策本部】

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