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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月17日 No.3251 東京都における首都直下地震への対策聞く -田邉東京都危機管理監らから/社会基盤強化委員会企画部会

説明する田邉氏

経団連の社会基盤強化委員会企画部会(伊東祐次部会長)は1日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、東京都の田邉揮司良危機管理監(前自衛隊北部方面総監)、森永健二総合防災部事業調整担当課長から、東京都における首都直下地震への対策について説明を聞くとともに、意見交換を行った。田邉危機管理監の説明の概要は次のとおり。

(1)過去の教訓と自助・共助の重要性

阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓から、災害時に多くの命を守るためには、まずは自助・共助が重要である。東日本大震災時には、津波防災教育が行われていた岩手県釜石市の児童・生徒は、全員が適切に避難をすることができた。また、阪神・淡路大震災においても、被災者の97.5%が、自力もしくは近隣の人に救助されたという調査がある。このように、経験上、災害時の救急対応における公助の役割は1割ほどでしかなく、自助・共助の役割が極めて大きい。

(2)東京都の自助・共助への取り組み

東京都では、今後30年間に約70%の確率で生じる首都直下地震の発災を念頭に、自助・共助の推進に向けた取り組みを進めている。東京都は、人口や交通網が集中する政治・経済の中枢都市であり、昼間人口と夜間人口とが約250万人異なるため、発災時には首都機能の維持や大規模な帰宅困難者の発生等が問題となる。これらの問題への対応に向け、東京都では地域防災計画を策定し、幅広い観点から災害に対する備えを進めている。

とりわけ、共助の観点から、災害時の応急・復旧業務を円滑に進めるため、延べ200以上の民間企業・団体と約80件の応援協定を締結し、官民の協力体制を構築している。また、地域で防災活動を展開する「東京防災隣組」の創設や、帰宅困難者の一時滞在施設の確保、国と東京都による災害対応体制の構築などにも取り組んでいる。

さらに、事前の備えや発災時の対処法を記したハンドブック「東京防災」の都民や企業への提供や、食料品などの備蓄の励行に向けた普及イベントの開催、各種災害を想定した防災訓練の実施などの自助の促進に向けた取り組みも行っている。

(3)さらなる自助・共助・公助の推進に向けて

東京都危機管理監として、いつ災害や危険が起こってもおかしくはないという姿勢で臨んでいるが、そのなかで本当に大切なことは、万が一災害や危険が生じたとしても、首都機能を確実に維持し、「東京は大丈夫である」という姿を国内外に発信していくことであると思う。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、安全・安心面での万全な体制を構築するために、日ごろから行政、住民、事業者が防災「意識」を共有し、各々の力を結集させることで、防災「能力」を高めていくことが求められる。

◇◇◇

その後、森永課長から東京都の帰宅困難者対策にかかる今後の課題について、(1)防災意識低下への懸念(2)災害時に備えた法制度整備の必要性(3)帰宅支援スキームの構築(4)最新技術の活用(5)官民連携――の5つの観点から説明があった。

【政治・社会本部】

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