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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年1月7日 No.3253 森金融庁長官から「金融行政の課題」聞く -金融・資本市場委員会

講演する森長官

経団連は12月11日、金融・資本市場委員会(國部毅委員長、釡和明委員長)を開催し、森信親金融庁長官から、2015年9月に金融庁が公表した「金融行政方針」を中心に、資本市場の活性化に向けた金融行政の課題について説明を聞き、意見交換を行った。ここでは、「金融行政方針」の概要を紹介する。

■ わが国資本市場の課題

わが国の資本市場の課題は、家計の金融資産の過半が現預金にとどまり、その結果、資産運用のリターンが少ないだけではなく、金融業界の運用・リスク管理の高度化が遅れ、リスクマネーの供給も低水準にとどまっていることにある。

■ 金融行政の目的

こうしたなか、金融行政の目的は、金融をめぐるさまざまな環境が変化するなかでも、金融機関による質の高い金融仲介機能を発揮させ、金融システムの健全性や市場の公正性・透明性を確保し、企業・経済を持続的に成長させ、安定的な資産形成等により国民生活の向上を実現する基盤を整備することにある。

■ 金融行政の重点施策

  1. (1)活力ある資本市場と安定的な資産形成の実現、市場の公正性・透明性の確保
    経済の持続的成長に資する資金の流れをつくるため、NISAのさらなる普及と制度の発展を図る。また企業の持続的な成長に向け、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」を設置し、企業統治を「形式」から「実質の充実」へと次元を高めていく。
    市場の公正性・透明性を確保する観点から、会計監査の信頼性確保に向けた対応、金融取引のグローバル化・複雑化等に対応した証券取引等監視委員会の監視機能の高度化等を行う。

  2. (2)金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保
    融資先企業へのヒアリング等を踏まえ、金融機関が企業の事業性に着目した融資を行い、「稼ぐ力」を金融面から支援するよう促す。金融システムの健全性維持のため、システム上重要な金融機関を中心に市場や経済のストレス時へ備え、検証等を行う。

  3. (3)IT技術の進展による金融業・市場の変革への戦略的な対応
    フィンテック(FinTech)にみられる金融・IT融合の動きは、金融業・市場の姿を大きく変える可能性がある。問題がなければ顧客利便の観点からできるだけこれを取りこむ。一方、サイバーセキュリティーの強化やアルゴリズム取引の市場の公正性・安定性への影響の検証も進める。

  4. (4)国際的な課題への戦略的な対応
    08年の金融危機後、国際的に金融機関への規制強化の動きが継続しているが、成長資金の供給に及ぼす影響やシャドーバンキングの肥大化等の懸念もある。経済成長と金融システムの安定との両立を確保するため、国際的な場で積極的に発信・貢献し、国際的なネットワーク・協力の強化を進める。

■ 金融庁の改革

金融を取り巻く環境変化を先取りする金融行政の体制を構築するため、「金融行政モニター(仮称)」の設置等「開かれた体制」の構築や職員の意識改革を推進する。また、金融機関に対しては行動を子細に規定せず、対話を通じ創意工夫を引き出すことで質の高い金融サービスの実現を図る。

【経済基盤本部】

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