1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2016年1月21日 No.3254
  5. 提言「アフリカの持続可能な成長に貢献するために」公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年1月21日 No.3254 提言「アフリカの持続可能な成長に貢献するために」公表 -TICAD Ⅵに向けた経済界のアフリカ戦略

経団連は19日、提言「アフリカの持続可能な成長に貢献するために」を公表した。

現在日本政府は、今年の夏にケニアのナイロビで第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)を開催する方向で調整を進めている。その準備の一環として、昨年10月に「TICAD Ⅵ官民円卓会議」を設置、TICADを通じてアフリカ市場への日本企業の進出をいかに図っていくかについて官民で議論し、今年5~6月に安倍首相への提言を取りまとめる予定である。こうした動きに経済界の意見を反映させるため同提言を取りまとめた。提言の概要は次のとおり。

サブサハラアフリカの経済成長率の推移と今後の見通し

■ アフリカ市場の現状

アフリカでは、人口増加に伴う消費市場の拡大や経済成長に伴い、ビジネスの機会が拡大している(図表参照)。一方、石油等の資源価格の急落、感染症やテロの発生などを受けて、アフリカ事業を縮小、撤退する事例も散見される。わが国官民としては、現状と課題を冷静に見極めて対応策を立案していく必要がある。

■ TICAD Ⅴ後の取り組みへの評価

こうしたなか、TICAD Ⅵに向けては、まず前回13年に横浜で開催されたTICAD Ⅴ後の取り組み状況を正しく評価し、PDCAサイクルを回すことが求められる。各種プロジェクト案件の形成、産業人材の育成をはじめ、日本政府の取り組みについては、全体として高く評価できる。一方、インフラ整備、公的機関の能力強化、ビジネス環境の整備など、アフリカ自身の取り組みは十分に進んではいない。

■ 今後の対アフリカ戦略

今後ともアフリカ諸国におけるビジネス環境の整備、インフラ整備、人材育成を継続していくことが不可欠である。そのために、日本としての戦略的重点国や重点領域を定め、成果目標や工程表を含む個別具体的な戦略を打ち出すことが必要である。

■ 今後の具体的課題

第1に、アフリカにおける食糧事情を改善し、貧困の撲滅を図るため、農業の大規模化や生産性の向上、フードバリューチェーンの構築を進めるとともに、経済社会活動の基盤たる電力や水の安定供給や平和と安定の確保を図る必要がある。

第2に、アフリカの経済成長のボトルネックとなっているインフラ不足の解消のため、現在進められている「戦略的マスタープラン」の早期実現が求められる。

第3に、アフリカ各国のビジネス環境改善のため、法制度の整備、規制緩和のほか、二国間の官民対話の枠組みの設置、租税条約や投資協定の早期締結、経済連携協定の検討などが必要である。

第4に、ABEイニシアティブ(5年間に1000人の留学生をアフリカから受け入れるプログラム)や産業人材育成センターなどの人材育成の取り組みを17年までの約束期間終了後も継続して進めていかなければならない。

政府、関係機関、そして企業が今まで以上に連携を強め、こうした取り組みを進めて、アフリカの発展に貢献していく必要がある。

※提言の全文は経団連ウェブサイトに掲載

【国際協力本部】

「2016年1月21日 No.3254」一覧はこちら