Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年2月11日 No.3257  消費者契約法・特定商取引法の見直しをめぐり意見交換 -消費者政策委員会消費者法部会

消費者契約法・特定商取引法については、内閣府消費者委員会の専門調査会において見直しに向けた検討が行われ、昨年末に報告書が取りまとめられた。これを受け、1月7日に消費者委員会から内閣総理大臣に答申がなされ、今通常国会に両法の改正法案が提出される見込みである。

そこで経団連は1月27日、東京・大手町の経団連会館で消費者政策委員会消費者法部会(土屋達朗部会長)を開催し、内閣府消費者委員会事務局の増田朋記参事官補佐から報告書の内容について説明を聞くとともに、両法を所管する消費者庁の井内正敏審議官、加納克利消費者制度課長、桜町道雄取引対策課長と意見交換した。
報告書の概要は次のとおり。

■ 消費者契約法の見直し

  1. (1)速やかに法改正を行うべき主な論点
    高齢化の進展に伴い、加齢や認知症等により判断力が不十分な消費者が、不必要な契約を締結させられる事例がある。そこで事業者が、消費者が合理的な判断をすることができない事情を利用して、通常必要とする分量・回数・期間を著しく超える契約を締結させた場合には、当該契約の取り消しを認める規定を新設する。
    そのほか、消費者の取消権の行使期間(短期)のみ現行の6カ月から1年に伸長するなどの改正を行う。

  2. (2)今後の検討課題とされた論点
    消費者契約法の規律を及ぼすべき勧誘の対象に、広告など不特定向けのものも含めるか、消費者が契約を取り消すことができる事業者の不当な勧誘の類型として威迫による勧誘等を追加するかといった論点については、現時点では法改正を行うとの結論には至らず、今後の検討課題とする。

■ 特定商取引法の見直し

  1. (1)分野横断的な事項
    訪問販売や電話勧誘販売において、事前に登録した消費者に対して不招請勧誘(消費者からの要請なく訪問することや電話をすること)を禁止する制度など、勧誘に対する法規制の強化は、専門調査会の委員間で共通認識が形成されるには至らず、現時点では法執行の強化や自主規制の強化などで対応すべきである。一方、特定商取引法の規制対象となる権利については、現在の指定制を見直すなどの必要な措置が講じられるべきである。

  2. (2)個別取引分野に関する事項
    電話勧誘販売において、同一の商品やサービスについて、通常必要とされる量を著しく超える量を販売する、いわゆる過量販売に該当する取引で解除権を導入するほか、美容医療契約を特定継続的役務提供の規制対象に追加するなどの改正が必要である。

  3. (3)執行に関する事項
    業務停止命令を受けた事業者の役員等が新たに別法人で同種の事業を行うことを禁止するなど行政処分を強化するほか、虚偽報告や検査忌避に対する罰則を引き上げるなどの改正を行うべきである。

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改正法案は国会成立・公布後、約1年後に施行されることが想定される。経団連では、当面は報告書の趣旨に沿った改正が行われるよう立法化作業を注視し、法案の成立後は改正法の周知を図るとともに、消費者庁による「逐条解説」の改訂が適切な内容となるよう働きかけていく。

【経済基盤本部】