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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年3月24日 No.3263 ニーニスト・フィンランド大統領一行と懇談 -ヨーロッパ地域委員会

ニーニスト大統領(中央)と佐藤委員長(右)、石塚委員長(左)

経団連(榊原定征会長)のヨーロッパ地域委員会(佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長)は9日、東京・大手町の経団連会館で来日中のサウリ・ニーニスト・フィンランド大統領、キンモ・ティーリカイネン農林・環境大臣ならびにフィンランドを代表する企業約10社の幹部からなる経済代表団との昼食懇談会を開催した。

冒頭あいさつした佐藤委員長は、フィンランドが木材、紙・パルプ等の伝統的な産業を基盤にICT分野をはじめ研究開発力と国際競争力を誇るイノベーション立国であり、高い教育水準や女性の社会進出といった面も含めて、経団連ビジョンが目指す国家像と重なる部分が多々あると述べた。そのうえで、日本とフィンランドのさらなる経済関係強化のためにも日EU経済連携協定(EPA)の早期実現が不可欠として、大統領一行の理解と支援を求めた。

ニーニスト大統領は、フィンランドにとって日本はアジアにおける重要な貿易投資パートナーであり、2019年の外交関係樹立100周年に向けて良好な関係を維持・強化していきたいと述べた。具体的には、今後の両国経済交流発展のカギは、従来の林産品や自動車分野に加え、クリーンで持続可能なエネルギー・ソリューションの開発やロシアや東南アジアなど第三国市場における産業協力の推進にあると指摘した。

ティーリカイネン農林・環境大臣は、日EU EPAは互恵的で日欧企業の国際競争力強化に資することから早期実現を支持すると述べ、同国政府が戦略目標として掲げるバイオエコノミーや循環型経済社会に加え、デジタル化、北極研究等の分野を中心に日本との連携を強化したいと意欲を示した。

経済代表団団長のカリ・ヨルダンメッツア・グループ社長兼CEOは、世界的な潮流であるデジタル化やIoT(Internet of Things)、クリーンエネルギーの推進に向けて、両国企業の連携による最先端技術の開発等に期待を表明した。清水章ヨーロッパ地域委員会企画部会長は、インターネット・エコノミーの推進に向けて、自由な越境データフローなどグローバルな環境整備が不可欠と指摘した。

また、フィンランド経済代表団から、建設、エネルギー、木材など同国が高い国際競争力を有する産業分野について説明があり、建設セクターでは同国とロシアの地理的近接性や歴史的な交流を背景としたロシア市場における日本企業との連携に強い意向が示された。エネルギー分野に関しては、クリーンエネルギー推進の観点からフィンランドが強みを持つ天然ガスについて紹介があった。木材分野では、森林が陸地面積の8割を占めるフィンランドにとって日本は林産品の輸出先として重要な市場であり、引き続き需要に応じた高品質な製品を提供したいとの発言があった。

経団連側からは両国の観光交流拡大に向けた課題、ロシア市場におけるフィンランド企業との事業協力の展望、フィンランドとの良好なビジネス関係の現状等について発言があり、最後に石塚委員長が、今次懇談を通じてお互いの強みとする技術を生かした技術提携や業務提携が日本とフィンランド、さらにEUを超えてロシアなどの第三国市場にも広がっていくことを期待すると総括した。

【国際経済本部】

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