1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2016年5月12日 No.3269
  5. 提言「大規模災害への対応における官民連携の強化に向けて」を取りまとめ建議

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年5月12日 No.3269 提言「大規模災害への対応における官民連携の強化に向けて」を取りまとめ建議

河野防災相(中央)に建議する社会基盤強化
委員会の山内委員長(左)、橋本委員長(右)

熊本地震の支援策として導入された災害情報
連携システムを実演しつつ説明する橋本委員長

経団連(榊原定征会長)は4月19日、提言「大規模災害への対応における官民連携の強化に向けて」を公表し、同月26日に河野太郎防災担当大臣に、5月11日に石井啓一国土交通大臣にそれぞれ建議した。提言の概要は次のとおり。

■ 基本認識

東日本大震災以降、企業・団体、国・自治体等の各主体において、防災・減災および国土強靭化に向けた取り組みが進められてきたものの、鬼怒川の氾濫(2015年8月)、熊本地震(16年4月)等、依然として各種災害において多大な被害が発生している。

わが国全体の防災力の強化には、まずは企業や行政等の各主体が個別に取り組みを進めることが必要条件である。そのうえで官民連携を中心に各主体間の相互連携を図ることが十分条件となる。こうした観点から、各主体の取り組み促進を図るとともに、災害時に実効力を発揮できるよう、官民連携の強化策を講じる必要がある。

■ 首都直下地震等の大規模災害と3つの視点

わが国は各種の災害リスクを抱えているが、特に首都直下地震が発災した場合、全壊・焼失家屋は約61万棟、死者は約2.3万人、約95兆円の経済被害、最大約850万人の帰宅困難者が発生すると想定されている。

このような大規模災害への対応における官民連携の強化に向けて、(1)制度・運用面(ソフト面)(2)ICTの利活用(3)社会資本整備・建築物の強化(ハード面)――という3つの視点に焦点を当て、次のような課題整理と解決策を提示する。

■ 官民連携の強化策

  1. (1)制度・運用面(ソフト面)
    ソフト面の課題では、官民の防災意識の低下、中堅企業等や市区町村のBCP策定が不十分なこと、災害時の官民協定数の増加から協定が多層化し、広域災害の発災時に、複数の自治体から企業・団体へ同時に応援要請が届き、対応に苦慮すること等が挙げられる。
    これに対し、企業・経済界としては日ごろからの防災訓練実施、BCP/BCMの実効性向上、国・自治体においては避難勧告・指示を自動的に発出する仕組み(デジタル化)、さらに官民連携の強化策として、締結済みの官民協定の優先順位づけ等を進める必要がある。

  2. (2)ICTの利活用
    ICTの利活用では、国や自治体等で災害情報連携システム(災害情報の収集、一元管理、一斉発信を行うシステム)の構築が進む一方、それぞれが独自の仕様で構築しているため、システム間の相互連携ができないことが最大の課題である。
    そこで企業・経済界、国・自治体が、適切な情報発信や人材育成に取り組むとともに、官民連携の強化に向け、システム間の相互連携を可能とするための情報項目や入出力手順の標準化が早急に求められる。

  3. (3)社会資本・建築物の強化(ハード面)
    ハード面では、老朽化する社会資本の維持管理や、建築物の耐震化、出火防止対策等が課題として挙げられる。
    これに対し企業・経済界では、建設現場へのICT等の最先端技術の導入、国・自治体では、経済効果の高い社会資本の整備、さらに官民連携として、防災・減災に資するインフラシステム輸出の推進などが挙げられる。

※提言の全文は経団連のウェブサイトに掲載

【政治・社会本部】

「2016年5月12日 No.3269」一覧はこちら