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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年6月9日 No.3273 榊原会長が副会長とともに総会後に記者会見 -GDP600兆円経済への確固たる道筋つける

経団連の榊原定征会長は2日、東京・大手町の経団連会館で定時総会後の記者会見に臨んだ。

経団連会長としての3年目のスタートにあたり榊原会長は、経団連の主な役割として、(1)民主導の成長実現に向けて経済界全体の進むべき方向性を示し、企業の行動を先導していく(2)日本の経済・社会全般にわたる改革の牽引役を担う(3)経済界の立場から政府に対して、国益や将来を見据えた政策提言とその実現に向けた働きかけを行う――の3つを挙げ、これらをしっかり認識し積極的に活動していくと述べた。

そのうえで、最優先課題はデフレ脱却と経済再生を確実に実現し、GDP600兆円経済への確固たる道筋をつけることと強調。そのためには、消費喚起や投資促進などの需要拡大が必要であり、特にGDPの約6割を占める個人消費の喚起が重要と指摘。2014年4月の消費税率引き上げ後、足踏み状況にある個人消費を上昇トレンドに切り替え、消費回復を定着させていくため、政府に財政出動を伴う大胆な消費喚起策の早期実行を求めていくとの考えを示した。

さらに「日本再興戦略2016」に経団連の提案によって盛り込まれた「官民戦略プロジェクト10」に言及。これを成長戦略強化の推進力と位置づけ、官民の英知やリソースを結集して進めていくとの考えを示し、特に第4次産業革命の実現、Society 5.0 の推進が重要になると指摘した。

加えてTPP協定の早期発効や日EU EPA、日中韓FTAの早期実現をはじめ経済連携の推進、諸外国との経済交流の強化・拡大、女性の活躍推進に積極的に取り組んでいくと述べた。また、今後も国民各層の声に真摯に耳を傾け、社会からの信頼を一層高め、国民の期待にしっかりと応えられるよう、経団連自身の改革に全力で取り組んでいく考えを示した。

消費増税の再延期については、G7伊勢志摩サミットの首脳宣言の合意を議長国である日本が率先して実行したものであるとの認識を示した。個人消費を喚起し、日本経済を再びデフレに戻さない、経済再生を最優先するという安倍総理の強い決意の表れであり、経団連としてはこの決定を尊重するとした。政府には、景気浮揚に向けた経済対策の早期策定・実行や「経済財政運営と改革の基本方針2016」「日本再興戦略2016」「ニッポン一億総活躍プラン」の遅滞ない着実な実行を求めていくと述べた。

また、消費増税が見送られたことで財政再建が遠のくのではとの懸念について、安倍総理は20年PB黒字化の旗は降ろさないと明言しており、実現に向け官民挙げて取り組んでいかなければならないと指摘。財政再建には成長戦略、歳出改革、歳入改革の三本柱で対応する必要があり、消費増税見送りにより歳入面では厳しくなるものの、総合的には財政再建目標は達成できる状況にあるとして、19年10月に消費増税を可能とする経済環境を構築していくとの考えを示した。

歳出改革では社会保障制度改革、とりわけ給付全体の効率化・適正化について、聖域を設けず思い切った措置を講じていくと同時に、高齢者世帯から子育て世帯へと支援の重点を移していく必要があるとの認識を示した。

経済情勢については、G7伊勢志摩サミットで新興国経済にかげりがみられ、先進国経済も力強さを欠き、世界経済は下振れリスクに直面しているとの見解が示され、これはB7東京サミットの経済認識と同様であるとした。G7は今後、下振れリスクの存在を認識しつつ新たな危機に陥ることを回避するため、金融政策、財政政策、構造改革のすべてを総動員していくとしており、IMFの経済予測でも16年は3.2%、17年は3.5%の成長が見込まれていることから、経済のファンダメンタルズは、リーマンショック時とはまったく異なるとの考えを示した。

日本経済については、企業業績、雇用ともに堅調であり、経済のファンダメンタルズは強いとして、消費喚起に向けた経済対策がきちんと実行されれば、名目3%・実質2%の経済成長を達成できるとの見通しを示した。

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会見には榊原会長とともに副会長16名が同席、新たに選任された4名の副会長がそれぞれ経団連活動への抱負を述べた。

【広報本部】

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