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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年6月16日 No.3274 訪モスクワミッション派遣 -閣僚等と政策対話実施

ドヴォルコヴィッチ副首相と朝田日本ロシア経済委員長

5月の日露首脳会談で安倍晋三首相からウラジーミル・プーチン大統領に「8項目(注)からなる協力プラン」が提示され高い評価を得るなど、日本とロシアの経済分野での協力促進に向けた機運がとみに高まるなか、経団連(榊原定征会長)は8日から10日にかけて、朝田照男日本ロシア経済委員長を団長とするミッションをモスクワに派遣し、アルカジー・ドヴォルコヴィッチ副首相はじめ経済閣僚や経済界首脳等と政策対話を行った。
ミッション派遣に先立ち開催した結団式ならびにミッションの概要は次のとおり。

1.結団式(6月1日)

結団式では、外務省の林肇欧州局長および経済産業省の片瀬裕文通商政策局長から、ロシアの政治・経済情勢および日露経済関係等について説明を聞いた。

まず林局長から、9月に予定されている国家院(下院)選挙を含め内政状況や最近のロシア外交、安倍首相のソチ訪問の結果ほか日露関係について包括的な説明が行われた。片瀬局長からは、ロシア経済をめぐる推移や日露間の貿易・投資関係の現状、エネルギー協力等について具体的な説明があった。

2.ミッション(6月8~10日)

■ 日露経済関係のカギを握る4閣僚との政策対話

日露両国の注目を集めたウリュカエフ経済発展相との懇談

ミッション一行はモスクワ到着後の8日、上月豊久駐ロシア日本国特命全権大使から現地情勢に関する説明を受けた。

翌9日には、首相府においてドヴォルコヴィッチ副首相と面会した。朝田団長から、日露関係が新しい局面に向けて大きく動き出すなか、「8項目」関連案件を具体化していく意向を表明したところ、「現在、ロシア関係省庁内で強い関心を持って『8項目』を検討中であり、すべての分野においてポテンシャルが大きい。特に運輸、農業、エネルギー等の分野のプロジェクトを提案していきたい」との意欲が示された。

また、経団連が昨年12月に公表した提言「日ロ経済関係の基本的な考え方」を受け、同副首相は「日本企業の要望も踏まえ、連邦政府として、ロシアのビジネス環境における障壁を除去すべく、取り組んでいく」と述べた。

その後懇談したアレクセイ・ウリュカエフ経済発展大臣からも、「『8項目』を注意深く検討しており、大規模な投資プロジェクトが今後の二国間貿易を増大させる基盤となるよう、詳細かつ具体的な提案を準備している」との説明があった。

10日には、デニス・マントゥロフ産業・商業大臣と面会し、自動車や建設機械等の国内生産や輸入に対して今年5月に導入された廃棄税や、輸入代替・現地生産化要求等をめぐり、具体的に問題提起をし、改善を促した。同大臣はこれを受け止め、同席した関係局長に対応を指示した。

引き続き行われたアレクサンドル・ガルシュカ極東発展大臣との懇談においては、ロシア極東地域の経済特区への投資優遇措置や輸送ルート等について詳細な説明があり、木材加工、港湾整備、医療、食品等の個別プロジェクトをめぐって、団員との間で活発な意見交換が行われた。

■ ミッションの成果と今後の取り組み

今次ミッションでは、経団連の「基本的な考え方」も踏まえ、日露経済関係のカギを握る4経済閣僚等に対し、ロシア政府が進める輸入代替等に起因するビジネス環境上の問題点を具体的に指摘するとともに、改善に向けたロシア政府の取り組みについて言質を得るなど、建設的かつ実質的な政策対話を展開した。また、「8項目」についても、具体的なプロジェクトの今後の前進につなげる素地を築くことができた。

経団連では今後ともロシア政府・経済界との政策対話を積み重ねつつ、各種プロジェクトの実現に向け取り組んでいく。

(注)(1)健康寿命の伸長(2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市づくり(3)中小企業交流・協力の抜本的拡大(4)エネルギー(5)ロシアの産業多様化・生産性向上(6)極東の産業振興・輸出基地化(7)先端技術協力(8)人的交流の抜本的拡大

【国際経済本部】

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