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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年6月16日 No.3274 「企業経営者向けグローバルビジネスシンポジウム」開催 -経営判断としての知財戦略が必要

あいさつする金子知的財産委員長

日本知的財産協会主催、経団連共催の「企業経営者向けグローバルビジネスシンポジウム」が3日、都内で開催された。企業の経営層や業界団体の役員を中心に43企業・団体から80名あまりが参加した。

同シンポジウムはわが国の企業の産業競争力を維持・向上し、ひいてはイノベーションを促進しそのビジネスを担保するため、企業の経営層が各企業に合った独自の知財の活用戦略を考え、グローバル展開ができるようにすることを目的として企画・実施したもの。当日は、田中稔一日本知的財産協会会長(三井化学相談役)、フランシス・ガリ世界知的所有権機関事務局長、保岡興治衆議院議員(自由民主党知的財産戦略調査会長)、御供俊元日本知的財産協会副会長(ソニー執行役員コーポレートエグゼクティブ)から講演が行われた。

田中会長は、米欧中による積極的な知的財産権の行使状況や体制変化を紹介するとともに、オープン&クローズ戦略の強化や参入障壁特許の期限切れに対する対策、知財を取り巻く国際的な現状に関する十分な認識を通じ、経営者自らが自社独自の知財戦略を考えることの重要性を強調した。

ガリ事務局長からは、新興国による世界市場への参入状況に鑑み、経営レベルでの知財戦略の重要性の指摘とともに、世界知的所有権機関(WIPO)としての取り組みについての紹介があった。

保岡議員からは、小泉政権での知財立国宣言以降の知財に関する取り組みが紹介されるとともに、国民と政治がスクラムを組んでユーザー目線で政策実行や制度改正を行うべき時代となっているとの認識が示された。

御供副会長からは、ソニーが過去に経験した訴訟で陣頭指揮を取った経験から、経営トップの理解と柔軟な発想によって困難な紛争を勝ち抜いた具体的な事例が紹介された。

最後に、経団連の金子眞吾知的財産委員長が閉会あいさつし、オープンイノベーションの進展により共同開発者同士の知財に関する取り決めの重要性が増していること、企業同士の合従連衡や事業提携においても知財の価値が事業そのものの評価に大きく影響することなどを指摘したうえで、わが国が生んだ技術がシェアを世界で維持し、収益を継続して得ていくためには、ノウハウと組み合わせたり、新たなイノベーションにつなげたりするなどの高度な知的財産戦略に基づくビジネスモデルが必要と述べた。さらに、適切に知財を行使することで新興国に対し優位性を保持しつつ、一部の海外企業による濫用的な権利行使に対しては断固たる姿勢で臨むべきであると強調。そのためにも、企業経営層には知財に関する見識を深め、経営戦略として知財をとらえてほしいと、来場した経営者に呼びかけた。

これを受け、同シンポジウムとして「日本企業の経営者は、グローバル産業競争において、知的財産を最も効果的に使うことができるよう、行動する」と宣言を行った。

【産業技術本部】

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