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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年7月7日 No.3277 グローバルサプライチェーンはじめ国際労働問題の現状と課題を聞く -雇用政策委員会国際労働部会

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で雇用政策委員会国際労働部会(得丸洋部会長)を開催し、厚生労働省の勝田智明大臣官房総括審議官(国際労働担当)から、国際労働の現状と課題について、説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ グローバルサプライチェーン(GSC)

国際的な課題として、第1にグローバルサプライチェーン(GSC)がある。2013年にバングラデシュで発生したラナプラザビル倒壊事故を発端として、GSCに対する関心が高まり、昨年、ドイツで開催されたG7サミット等でも議論となり、今年6月のILO総会においても議題となった。さらに、来年のG20サミットはドイツが議長国であり、議題として取り上げられるだろう。

現在、欧米等グローバルに活動する企業に対して、デューディリジェンス(Due Diligence、戦略策定、リスク管理、監査・報告体制の整備)の実施を課す動きが出始めており、今後、日本企業の海外での事業活動に影響が出るおそれがある。

こうした動きに対して、日本政府としては、多国籍企業に規制を課すのではなく、途上国における労働法制や労働監督の適切な実施といったガバナンスの強化によって解決を図るべきと考えている。

■ その他の国際的な課題

難民・移民問題への対処も大きな課題である。今年のILO総会でも、難民問題への対処が大きな議論となり、来年も移民問題が議題となる。日本はこうした問題に直面していないが、難民や移民の労働市場へのアクセスをどのように行っていくか知恵を出していく必要がある。

さらに、賃金や所得の格差の増大も世界的に直面する課題となっている。世界的に労働分配率が減少していることが問題だという意見も上がっており、今年9月に中国で開催されるG20杭州サミットでも議論が行われる予定である。

■ 国際会合の動き

今年のG7伊勢志摩サミットでは、賃金格差、若年雇用、インクルーシブ社会の構築、高齢化社会への対応、難民問題等の課題が議論に上がった。

今年2月に署名されたTPP(環太平洋パートナーシップ)では、加盟国がILOの中核的労働基準の内容を実行することとされている。ベトナム等TPP加盟国においては、日本企業以外の他国企業もこうした中核的労働基準を遵守することが求められる。

■ 日本企業に対する期待

国際的な議論の場では、日本企業の顔がよくみえないといわれている。国際ルールづくりの場に日本企業にもっと積極的に参加してほしい。政府としても日本企業に適合的な国際ルールづくりに向けて汗をかきたい。また、日本企業はすでに多くの国際貢献活動を行っているが、こうした活動をもっと積極的に世界にPRしていくことが重要である。

◇◇◇

当日は、勝田総括審議官の説明に続き、第105回ILO総会での討議の模様について報告があった。

【国際協力本部】

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