Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年7月14日 No.3278  田村観光庁長官と「観光先進国」実現の具体策をめぐり懇談 -観光委員会

説明する田村長官

経団連は6月29日、東京・大手町の経団連会館で観光委員会(冨田哲郎委員長、菰田正信委員長)を開催し、観光庁の田村明比古長官から、「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016年3月)および「観光ビジョン実現プログラム2016」(同5月)の概要を聞くとともに、具体策をめぐり懇談した。

田村長官は、観光振興の意義について「交流人口の増加が成長維持に重要だ」としたうえで、「今後、観光産業を基幹産業にして、わが国を『観光先進国』にしていく。『明日の日本を支える観光ビジョン』では、そのための主な施策を『3つの視点』と『10の改革』として取りまとめた」と述べ、具体策について説明した。

このうち、「古い規制を見直し、生産性を大切にする観光産業へ」では、ホテル不足の速やかな解消・多様な旅行ニーズにあわせた宿泊施設の提供のため、民泊サービスについても、住宅提供者の届出制、仲介事業者・管理者の登録制等を柱とするルール化に取り組むとした。

また、「『働きかた』と『休みかた』を改革し、躍動感あふれる社会を実現」については、国内需要喚起のため重要な施策だと指摘したうえで、フランスで地域ごとに学校休暇をずらして設定している事例や、豪州で2週間を上限に有給休暇の買い取りが認められている事例を紹介しつつ、「官民で有休取得率を上げていく努力をしていく必要がある。2020年までに有休取得率70%を目指す」と強調した。

最後に、熊本地震を受けて今年5月に政府が取りまとめた「九州の観光復興に向けての総合支援プログラム」について、「180億円の予算を用いての熊本・大分を中心とした九州への旅行助成、大規模な内外誘客プロモーション等を通じて観光復興に尽力していく」と説明した。

続いて行われた懇談での主なやり取りは次のとおり。

―年度末の観光立国推進基本計画の改訂はどのように行われるのか。これまでの施策の評価は反映するのか。
「観光ビジョンでは2020年までの目標を掲げており、改訂基本計画はビジョンを反映したかたちでつくっていくこととなるが、その際に再度実績評価も行うこととなろう」

―海外のテレビ番組等を通じて日本の地方を外国人にみてもらう取り組みが重要だ。
「日本の地方の魅力を効果的に発信することは重要だ。映像は訴求力が強いので、インターネットや現地キー局を活用するなど工夫したい」

―人材不足が課題であり、ICTの活用事例を発信すべきだ。
「労働力の確保は課題だ。ICTによる生産性向上、外国人材の活用を含めて、いろいろな省庁と協力して対応したい」

【産業政策本部】