経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会企画部会(岡村将光部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)の合同会合を開催した。内閣府宇宙開発戦略推進事務局の高見牧人参事官から、国内外の宇宙産業の動向や政府における宇宙政策の検討状況について説明を聞くとともに意見交換を行った。高見参事官の説明の概要は次のとおり。
■ 国内外の宇宙産業の動向
宇宙産業の市場規模は世界的に増加傾向にあり、今後も成長する見込みだ。
米国では宇宙分野のベンチャー企業に対する投資が、ベンチャーキャピタルを中心に大きく増加している。宇宙分野のベンチャー企業の数は、日本では10社に満たないが、米国には3000社、欧州には400社あるといわれている。スペースXをはじめ、2000年以降に創業した企業が多く参入している。
わが国の宇宙産業は官需が中心であり、欧米に比べて規模が小さい。強みとしては、生産力・技術力が高いことが挙げられるが、打ち上げ機会や衛星受注が少ないことが弱みである。また、周辺アジア国に近いという点では有利だが、グローバル市場では後発国であるという問題がある。
■ 宇宙産業ビジョン
海外の企業が非常に速い速度で動いているなか、わが国の宇宙産業が現状のまま推移すれば成長のチャンスを失いかねない。こうした危機感のもと、産学官の有識者で「宇宙産業ビジョン」の検討を進めていく。
例えば、衛星やロケット等の宇宙機器の国際競争力の確保・強化に向けては、コスト、信頼性、技術開発・実証の手段、政府調達のあり方などが論点となる。また、宇宙産業基盤の維持・強化には一定規模の需要が必要なので、アジア等の海外市場への展開を図らなければならない。さらに、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、AI(人工知能)の視点から宇宙利用ビジネスを創造することや、非宇宙分野の企業やベンチャー企業等の参入を促進することも重要である。
こうした点も踏まえ、(1)わが国が将来目指すべき宇宙産業・ビジネスの絵姿(ビジョン)(2)政府で対応すべき取り組みのあり方(必要な政策・施策等)(3)産業界・企業やそのステークホルダーに期待される役割――について検討を行っていく。
【産業技術本部】