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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年7月21日 No.3279 提言「データ利活用のための環境整備を求める」を公表

経団連は19日、提言「データ利活用推進のための環境整備を求める」を公表した。今年4月公表の提言「新たな経済社会の実現に向けて」で求めた Society 5.0(超スマート社会)の実現に向け、データ利活用推進のための環境整備に焦点を当て、わが国が克服すべき課題や必要な施策を取りまとめたもの。概要は次のとおり。

■ データ利活用の意義

スマートフォンやIoT(Internet of Things)(注1)の普及により、多量かつ多様なデータの収集が可能となり、それらの利活用への期待が高まっている。世界ではフィンテック(FinTech)(注2)に代表されるような産業のIT化が加速し、さらには既存産業の枠を越えたイノベーションが次々と起きている。わが国産業界が国際競争力を維持するためには、組織や業界の枠を越えたデータ利活用を推進し Society 5.0を実現する必要がある。

データ利活用は、個人の生活の質の向上や社会課題解決につながる点でも意義が大きい。産業界として、そうした意義を国民にわかりやすく示すため、同提言の付属資料「国民生活を豊かにするデータ利活用の事例」に20の事例をまとめた。

■ データ利活用推進に向けた課題・施策

官民データの積極的な流通を図り社会で広く利活用するため、プライバシー、サイバーセキュリティ、国境を越える自由な情報の流通を確保しながら、次の取り組みをあわせて進める必要がある。

(1)個人情報保護法制の整備

今般、民間部門と公的部門の個人情報保護法制が見直されているが、官民のデータの取り扱いが一元化されていないなど、未着手の課題も残っている。既存ビジネスや新産業・新サービスの創出等を阻害しない規制の整備ならびに定期的な見直しが必要である。

(2)データ利活用推進基本法の制定

(1)紙から電子への原則の転換(2)データフォーマットの標準化(3)官民共通識別IDの拡大(4)公共データのオープン化(5)人材育成――といった課題に取り組むとともに、(6)新たなデータ流通の仕組みについてもスピード感を持って検討する必要がある。さらに、(7)政府の検討・実施体制を一元化することも重要である。これらの施策を官民一体となって早急に実施するため、データ利活用推進基本法の早期制定を求める。

(3)競争力を高める社会風土の醸成

データ利活用推進のためには、国民理解の増進、制度のグレーゾーンの解消、協調領域の構築を通じ、競争力のある新規ビジネスの芽を摘まずに育てる社会風土を実現することが必要である。

政府には、データの保護と利活用を両立し、国民の理解を得て円滑に利活用が進む環境整備を期待する。産業界としても、国民一人ひとりの生活の質の向上と社会課題の解決に貢献する使命を自覚し、Society 5.0の実現に向けて、具体的な取り組みを積み重ねていきたい。

(注1)IoT(Internet of Things)=あらゆるヒト・モノ・コトが広範にインターネットでつながることを指す概念

(注2)フィンテック(FinTech)=FinanceとTechnologyを掛け合わせた造語で、決済・仮想通貨・融資・資産運用等の分野でITを活用して新たなサービスを生み出す動きを指す

※提言の詳細は経団連ウェブサイトに掲載

【産業技術本部】

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