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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年8月11日 No.3282 むつ小川原開発推進委員会2016年度総会開催 -「エネルギー・環境イノベーション戦略」について聞く

経団連のむつ小川原開発推進委員会(宮永俊一委員長)は7月25日、都内で2016年度の総会を開催した。
むつ小川原開発地区は、経団連がかねてより開発推進を支援してきた地域であり、現在では原子力、再生可能エネルギーをはじめ多くの最先端施設が立地する総合エネルギー研究開発拠点が形成されつつある。
総会では、同地区開発の最新の状況と、同委員会の昨年度活動報告・収支決算および今年度活動計画・収支予算が報告された。また、内閣府の進藤秀夫大臣官房審議官と梅北栄一政策統括官付企画官を来賓に迎え、今年4月に取りまとめられた「エネルギー・環境イノベーション戦略」について講演を聞いた。
講演の概要は次のとおり。

エネルギー・環境イノベーション戦略は、2050年を見据え、世界で抜本的な温室効果ガス排出抑制を可能とする技術分野を特定し、その研究開発を強化するための戦略である。

同戦略では、パリ協定下で進められる排出削減を、長期的に大きく積み増す観点から、(1)従来技術と非連続的でインパクトが大きい(2)大規模に導入でき、大きな削減ポテンシャルを有する(3)実用化まで中長期を要し、かつ産学官の総力が必要(4)日本が優位性を発揮し得る――の4点を基準に、8分野の技術を選定した。具体的には、全体効率的なエネルギーシステムを実現するICT技術や、省エネ・蓄エネ・創エネ関連技術等である。

これら技術の研究開発を強化するため、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となり、政府一体で、有望な技術シーズの掘り起こし等を推進する。また、長期的な政府のコミットメントを明示しつつ、産学官の知恵を結集していく。あわせて、国際標準化等の取り組みを通じて、国際連携も進めていきたい。

同戦略の推進を通じて、日本がイノベーションで世界をリードするとともに、気候変動対策と経済成長を両立させていくことを目指す。

■ 意見交換

講演後の意見交換では、委員から、「高コストが水素の普及における障害となっている。水素の製造手法について、再エネ余剰電力以外も視野に検討すべきではないか」との発言や、「2℃目標実現に必要とされる、『パリ協定下での各国の削減+300億トン』の削減実現に向けた方策はあるのか」といった質問があった。

これに対して、進藤審議官、梅北企画官から、「化石燃料の改質や副生水素といった水素製造ルートがあることは承知している。長期的には、より低コスト化が図れ、かつ安全なものを使っていくことになるのではないか」「本戦略で見込める数十~100億トンの削減に加え、さらなるイノベーションの連鎖が起こり、他の政策とあわせて排出削減が進むことを期待したい」との回答があった。

【環境エネルギー本部】

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