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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月15日 No.3285 「成長産業化に経済界との連携強化を」 -奥原農林水産事務次官が講演/農業活性化委員会

説明する奥原農水事務次官

経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で農業活性化委員会(十倉雅和委員長、佐藤康博委員長)を開催し、奥原正明事務次官ら農林水産省幹部との間で、経済界と農業界の連携強化をはじめとする、わが国農業の重要政策をめぐり懇談した。

冒頭、奥原事務次官は「農業の発展には経済界と農業界の連携が重要である。目指すところは、農業が輸出も含めてグローバルに展開し、日本の重要な産業になることである」と強調。こうした観点から、今年11月末をめどに、生産コストの側面と農産物販売の側面から農業の競争力強化策を取りまとめると説明した。

具体的には、生産コストの側面については、「大きなテーマである生産資材価格の引き下げを進め、農業経営者のコスト低減に加え、生産資材それ自体の輸出も目指す。土地改良制度を見直し、農地中間管理機構が借りている農地の条件整備を進めるとともに、農業技術イノベーション、人材力強化も加速する」と述べた。農産物販売の側面では、供給過剰の時代にあった効率的な流通・加工構造の構築、戦略的な輸出体制の整備、実行可能な原料原産地表示の導入、経営力のある農家を支援する収入保険制度の導入を検討すると説明した。

最後に「以上の施策の実現にあたり、さまざまな意見交換の機会も活用して、経済界との連携を強化したい」とあらためて強調した。

続く施策説明では、まず大澤誠経営局長から、経営者・農地に関して、「農業経営者が自らの経営判断で経営していける状況を構築し、農業の産業としての自立を図りたい。農地集積の加速、企業参入の促進のための農地法の規制緩和、農業経営の法人化・新規就農者の確保等を進めている」と述べた。

次に、井上宏司食料産業局長が輸出促進策について「2019年までに農林水産物・食品の輸出額1兆円を達成するため、輸出拠点の整備や各国輸入規制の緩和を推進している」旨を報告。加えて、官民ファンドの農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)について「今年5月に支援事業者に対する出資も可能になるなど、使い勝手を改善している。具体的な課題があれば寄せてほしい」と述べた。

さらに、西郷正道農林水産技術会議事務局長からイノベーションの推進について「研究成果の見える化とデータ整備、優れた研究機関のネットワーク化を進めている。また、現場のニーズにあわせたスペックでの社会実装を進める」との説明があった。

■ 意見交換

その後の意見交換では、佐藤委員長が「農業が抱える課題は他産業にも共通するものであり、解決には経団連との協同が重要だ」と述べたうえで、適切な営農データの収集・加工や、消費者のニーズを営農者の生産に反映する仕組みの必要性を指摘した。これに対し、農林水産省から、データ蓄積に必要な用語統一や知的財産権の整備を進める旨の説明があった。

また、生産コスト低減の重点分野について質問を受けた奥原事務次官は、「各業界で適正な競争状態を維持することが重要であり、業界構造の改革も視野に検討する」と回答した。

最後に、十倉委員長は「和食人気や東京オリンピック・パラリンピック開催等、農業に追い風が吹いている。関係者一丸となって農業の先端・成長産業化に取り組みたい」と締めくくった。

なお、同会合では、懇談終了後、農産物・食品の輸出・海外展開に向けた提言案を審議・承認した。

【産業政策本部】

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