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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月29日 No.3286 国内外の宇宙産業の動向やわが国の産業政策のあり方について聞く -宇宙開発利用推進委員会企画部会・宇宙利用部会

経団連は12日、東京・大手町の経団連会館で、宇宙開発利用推進委員会企画部会(岡村将光部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。北海道大学公共政策大学院の鈴木一人教授から、望ましい産業振興策や官民連携のあり方等について説明を聞くとともに意見交換を行った。鈴木教授の説明の概要は次のとおり。

■ 海外の宇宙ベンチャー

海外では多くのベンチャー企業が宇宙産業に参入しているが、これらの企業は2種類に分類できる。第1は、ロケット打ち上げなどの既存市場に、低価格や効率性等を武器に参入している企業だ。しかしこれらの企業は信頼性と実績の面で制約があるので、日本企業は信頼性とサービス価値の高さで勝負すべきだろう。第2は、衛星によるリアルタイムの地球観測や宇宙旅行など、これまでにない新しい市場を開拓するベンチャー企業である。新市場の開拓はチャレンジ精神が旺盛な米国企業等が得意な分野であり、日本企業はこうした企業が市場を拓いた後に「追いつけ、追い越せ」という戦略を取るのが得策ではないか。

日本企業にとって最も有望なのは外国市場だ。競争力を強化するとともに、官民一体で海外の衛星受注を目指すべきだ。この際、衛星のみでなく、その衛星が提供できるサービスもパッケージで売る努力が必要となる。

■ 産業政策としての宇宙戦略

日本には、産業政策を軸とした統合的な宇宙戦略が必要だ。現在の「宇宙基本計画」はメリハリがついた戦略的な文書だが、産業政策という観点で統合されたというわけではない。

研究開発、民生利用、安全保障利用はすべて宇宙産業の競争力を強化することにつながる。またしっかりとした規模の予算を確保することが、宇宙産業の競争力を強化することにつながる。

米国では軍が主導して衛星の抗たん性(攻撃に対処し機能を維持する能力)の強化、大容量化、小型化などに取り組んでいる。こうした安全保障に資する高度な技術に関しては、将来的に民間企業へ技術移転することを視野に入れて開発を行うべきだろう。この際、第三国への輸出のあり方に関する法整備を進めることも求められる。

【産業技術本部】

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