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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年11月17日 No.3293 広尾学園を訪問 -最先端のICT教育現場を視察/教育問題委員会企画部会

経団連の教育問題委員会企画部会(三宅龍哉部会長)は10月24日、ICTを活用した先駆的な教育を実践している教育機関の視察の一環として、私立広尾学園(東京都港区)を訪問した。同視察は9月30日の千代田区立神田一橋中学校に続くもの。中学や高校の授業を見学した後、学校関係者から広尾学園の考えるICT活用の意義や教育方法について説明を聞くとともに懇談した。

■ 生徒の未来を最優先に考える

広尾学園におけるICT導入・環境整備や授業での活用は、実践したことがないことを避けるといった教員側の都合ではなく、生徒の未来のために何が必要なのかを追求した結果、実現したものである。広尾学園には、幅広いキャリアを目指す本科、医学部・理系分野を目指す医進・サイエンス、トップレベルの国際人を育成するインターナショナルの3つのコースがある。情報機器を効率よく学習を進めるためのツールとしてとらえる同校では、それぞれのコースで最適と考える異なる種類の端末を生徒1人1台で使用しており、本科ではタブレット端末のiPadを、医進・サイエンスではノートパソコンのChromebookを、インターナショナルではノートパソコンのMacBookを活用した授業が行われている。

■ ICT活用によるアクティブ・ラーニング

理数研究の授業

インターナショナルコースの中学1年生のクラスでは、表計算の活用を学ぶ「技術」の授業が行われていた。外国人教員がPC画面をプロジェクターでホワイトボードに投影し、その画面を参考に生徒が各自のMacBookに数値を入力するなどして学んでいた。また、中学1・2年生合同の「理数研究」(医進・サイエンスコース)の授業では、生徒はグループに分かれて自分たちで設定した研究テーマについて考察し、作成した資料をChromebookを用いて発表する姿も見受けられた。

発表内容について、同じテーブルについた教員も交えてディスカッションをする授業形式は、ICTを効果的に活用したアクティブ・ラーニングとなっている。また、ChromebookからGoogle Appsにアクセスすることで、生徒はどこにいても教員から資料や論文の内容についての指導が受けられる体制となっている。

■ 生徒にとって本当に重要な教育とは?

授業見学後、学校関係者から同校におけるICTを活用した教育についての説明があった。木村健太医進・サイエンスコースマネージャーは「医進・サイエンスコースの柱の1つである『研究活動』にはICTを活用したインターネットでの検索が不可欠であるが、ウェブ上にあふれる情報は答えでなく、考えるための材料である」と指摘。「『研究活動』においては情報の集め方やその信憑性の把握などの研究テーマにアプローチする方法こそが重要であり、それらを生徒には最も学んでほしい」と強調した。また、「企業人による講義などを通じて本物に触れさせる機会を設けることも、生徒が将来社会で活躍できる力を育成するためには必要なことであり、すでに実施している高校生の企業におけるインターンシップも今後さらに推進していきたい」として、産業界の協力による受け入れ体制の強化を求めた。

【教育・スポーツ推進本部】

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